現在、もっとも一般に使用されている印刷方式で版の形状は側面から見ると、平らになっています。平版はもともとドイツのゼーネフェルダーがケルハイム産の石灰石を使って楽譜の印刷用に凸版や凹版を試す過程で、この石灰石が多孔質で水分を保持する性質で脂肪を吸着することに気づき、脂肪性インキで字を書いて湿し水で湿して製版する現在の平版を発明したことにさかのぼります。この印刷の方法は、リングラフィー( リトグラフ)と呼ばれ、当時すでに盛んに行われていた凹版では表現されない味があり、その後多色刷りを含め広くヨーロッパ全土に普及しました。あの有名なロートレックの石版画もそのうちの一つになります。

また、ゼーネフェルダーは1817年に重たい石版石から亜鉛版を版材として使うことに成功しており、後の1903年にアメリカのルーベルがオフセット印刷を発明して、今日ある平版印刷の基礎が築かれました。

このオフセットとは凸版や凹版と違って紙が直接版に付くのではなく、ブランケットと呼ばれるゴムのシートにインキを転移させてから(オフ)、紙に印刷がされる(セット)ためオフセット印刷と呼ばれています。オフセット自体は、凸版でも凹版でも良いのですが平版が一般的に多く使われているため、正式にはオフセット平版印刷と呼ぶところをみなさん略してオフセットとかオフと呼ばれています。そこで凹版を使用するオフセット印刷は、通常のオフセット印刷と区別するため湿し水を使わないことから、ドライオフセットと呼ばれています。

このオフセット印刷に取り付けるする版(刷版)は平らなアルミの板で表面が前述の通り、水を含むように加工されています。これをレーザーで焼き付けて絵柄を形成するわけですが、焼き付けられた部分は水を保てなくなりますのでインキ(油)が転移されてしまう、それがブランケットに転移して紙にインキが移る、という流れになります。つまり、水と油が反発する原理を用いているわけです。

印刷機としては用紙を1枚1枚シートの状態で通す枚葉機と大きなトイレットペーパーのようなロール紙を高速回転させて印刷する輪転機の2種になります。どちらも一長一短があり枚葉機の場合は紙の種類や厚みの制約をあまり受けずに済むのですが輪転機(略してオフ輪と呼ばれています)はコート紙の場合で46/110kgベースまでの紙厚までしか通すことができず対応できる紙の種類も非常に限られています。また、インキが紙に転移された後にすぐ熱乾燥させるため、乾燥後の色の沈み加減(ドライダウン)がなく色合わせが枚葉と比べて容易で即加工に入れるといった高速性や廉価性がオフ輪にはあります。

また、機械の排紙側にシーターを付けてシート出しすることもできますが新聞折り込みなど袋裁ち(ギザギザカットで小さな穴があります)にして仕上げる場合は印刷と同時に加工まで仕上がった完成状態で出てきます。ただ、折り物などに前述の46/110kgベースなどを用いると、背中に割れが生じたり薄紙の場合でも熱乾燥により波打ちが出てしまうというデメリットがあります。

しかしながら折り込みチラシなど大量に印刷する場合は両面同時に刷り上げるオフ輪でなければ、実際のところ枚葉では対応できません。枚葉からオフ輪に切り替える通し数の目安としては、15000通し辺りからになります。B4チラシを例にしますとB2輪転でB4が4面(4丁と言います)のりますので最小ロットが6万部になります。

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