研究論文の製本ガイド:博士・修士・卒論の作成ルールと入稿手順
博士論文、修士論文、卒業論文など、研究の集大成である「研究論文」。その大切な論文を最終的に形にするのが「製本」の工程です。大学の学位請求論文や審査手続において、作成要領を守り、正確な仕様で提出することは重要です。 この記事では、研究論文の製本において、課程博士や論文博士を目指す方、また卒論提出を控えた学生の方々に向けて、失敗しないための注意点や印刷・製本の知識をご紹介します。
作成要領の確認:用紙・背幅・記載事項
製本を発注する前に、まずは大学や学会が定める「作成要領」や「提出要項」を必ず確認し、それらに基づく製本・印刷を行いましょう 。最適な製本方法を選ぶ前に、大学から配られるサイズや綴じ方などの作成マニュアルを把握することが先決です。
用紙の種類と厚さ(斤量)
本文の用紙には、一般的に白色の「上質紙」が使われます 。文字中心なら上質紙、写真やイラスト印刷が多く、高い画像解像度が求められる場合は、インクの発色が良い「コート紙」や「マットコート紙」が選ばれることもあります 。
紙の厚さ(厚み)や重さは「斤量(kg)」で表されます 。論文の製本印刷で使われる紙の厚さをいくつか示しておきます。
- 上質紙 A版44.5kg:0.1mm/枚
- 上質紙 A版57.5kg:0.13mm/枚
- コート紙 A版46.5kg:0.07mm/枚
- マット紙 A版44.5kg:0.08mm/枚
※A版44.5kgの上質紙で両面印刷しても裏写りはあまり気になりませんが、ご心配であれば専門業者に使用する紙の厚さを相談しましょう。
背幅の計算と背表紙
背幅はページ数と用紙の厚さの関係で決まります。「ページ数 ÷ 2 × 用紙の厚み」でおおまかに計算できます 。例えば、上質紙(A版44.5kg)は1枚約0.1mmなので、100ページ印刷すると厚さは5mm程度になります。背表紙にタイトルを入れる場合、最低でも3mmから5mm程度の幅(約60ページ以上)が必要です 。ページ数が少ないと背文字が入らない可能性があるため、事前に専門業者に相談し、詳細を確認してください。
表紙の記載事項
表紙や背表紙には、タイトル(題目)、氏名、提出年度、専攻名などの記載事項があります 。大学によっては背文字の向き(縦書き・横書き)まで指定されていることがあるため、提出要項などを確認することが必要です 。
論文の製本方法の選択
製本についての要項を確認したら、適した製本方法を選びましょう。研究論文の製本には、主に「上製本(ハードカバー)」と「並製本(無線綴じ・くるみ製本)」の2つの選択肢があります。
上製本(ハードカバー)
- 厚手のボール紙を芯材に使い、高級感のあるハードカバー(硬い表紙)で本文を包む製本方法。
- 耐久性が非常に高く、長期保存に適しているため、博士論文や大学図書館への保存用、本申請後の最終提出分として指定されることが一般的。
- 表紙には布クロスやレザークロスが使われ、タイトル(題目)などを金文字で箔押しすることで、格調高い仕上がりになる。
並製本(無線綴じ・ソフトカバー)
- 雑誌や文庫本のように、強力な糊で背を固めて表紙でくるむ製本方法。
- 「簡易製本」として扱われることもありますが、現在では多くの修士論文や卒業論文、予備審査段階の提出物として広く利用されている。
- 表紙にはレザックなどの用紙が使われる。
- 製本のコストを抑えられ、低価格かつ短納期での製本が可能。
中綴じ
- 冊子の中央をホチキスで留める製本方法。
- ページ数が多い論文には不向き。
- 70ページ程度が上限となるため、研究論文の製本ではあまり使用されない 。
データ作成と入稿の留意点
印刷製本の専門業者へ入稿するデータ作成には、いくつかの重要なルールがあります。Wordなどのテキストソフトで作成した場合でも、最終的には「PDFデータ」での入稿がおすすめです。
PDF変換とフォント埋め込み
Word形式のまま入稿すると、PC環境の違いによりレイアウト崩れや文字化けが起こるリスクがあります。必ずPDFに変換し、「フォント埋め込み」の設定を行っていただき、入稿してください 。
- 確認方法:作成したPDFをAdobe Acrobatなどで開き、プロパティのフォントタブで「埋め込みサブセット」と表示されていればOKです。あるいは、作成したPCとは別のPCでファイルを開いた時に文字化けしていないか確認することでもチェックできます 。
画像解像度とスキャン
図表や写真を掲載する場合、画像解像度は「300dpi以上」が推奨されます 。解像度が低いと、画面上ではきれいに見えても、印刷すると粗くなってしまいます。アナログ資料をスキャンして取り込む際も、高解像度設定を意識しましょう。事前にご確認いただいた上で入稿してください。
デジタル・アーカイブと著作権
近年は、提出された学位論文を大学のリポジトリ(デジタル・アーカイブ)でインターネット公表することが義務付けられている場合があります。そのため、図版などの著作権処理が適切になされているかも、製本前のデータ作成段階で確認しておく必要があります。
印刷方式と価格・納期
オンデマンド印刷 vs オフセット印刷
例えば、弊社の論文製本において、1000部以下の部数が少ない場合には、版を作らずにデジタルデータを直接出力する「オンデマンド印刷」が適しており、価格も安く抑えられます。一方、数千部以上の大部数を作成する場合は「オフセット印刷」がコストメリットを出せます。
価格と納期
価格
- 製本の仕様(上製本か並製本か)、ページ数、部数、カラーかモノクロかによって異なります。
- まずはフォームや電話で専門業者へ見積もりを依頼しましょう。
納期
- 並製本なら3から7営業日、上製本なら20から25営業日程度を見込んでおく必要があります 。
- ただし、1月から2月の提出シーズンは大学や学校の卒業時期と重なり、注文が殺到します。この期間中は、通常より製本納期が余分にかかる場合があります。
- お早めにご注文いただければ、余裕をもって納品可能です。
自分で製本 vs 業者に依頼
初めての論文作成で、「市販の製本キットで自分で製本するのと、業者に製本を頼むの、どっちがいい?」 とお困りの方もいるでしょう。 自分で製本する場合と、専門業者に製本を依頼する場合を比較しました。
自分で製本する方法
文具店などで「黒表紙(4穴綴込表紙)」や製本キット、綴じ紐を購入し、自分で印刷した原稿に穴を開けて紐で綴じる方法です 。あるいは、市販の製本カバーを使用して簡易的に作る場合もあります 。
メリット
- 価格が安い
- 即日でできる 。
注意点
- 見た目が安っぽくなりやすい
- 強度・耐久性が低くページが外れるリスクがある
- 複数冊作る場合、手間と時間がかかる
- 簡易製本不可としている大学では、自作キットは受理されない可能性がある
業者に製本を依頼する方法
印刷製本会社やネット印刷などの専門業者に論文のデータを送り、印刷から製本までを任せる方法です 。弊社のような印刷製本業者では、専門のスタッフが専用の設備で糊付けや断裁を行うため、市販の本のような高品質な仕上がりになります 。
メリット
- 仕上がりが美しく丈夫(プロ品質)
- 手間がかからない
- 大学の規定(背文字等)に対応できる
注意点
- 費用と納期が必要
- 入稿データの作成(PDF化等)が必要
- 提出期限の直前だと間に合わない場合があるため、余裕を持った発注が必要
店舗に足を運ばなくとも見積から発注、入稿まで完結できます。注文、お支払い、納品物のお送り等の流れは専門業者のウェブサイト等をご確認ください。
まとめ
研究論文の製本は、用紙選び、綴じ方、データ作成など、多くの留意点があります。
- 大学の指定を確認し、上製本か並製本かを選ぶ
- PDFデータはフォント埋め込みを忘れない
- 背幅を事前に把握し、背表紙のデザインを調整する
提出期限やカレンダーをよく確認して、余裕を持ったスケジュールで本申請・提出に臨んでください。
論文の製本・印刷のことならSOUBUN.COM
SOUBUN.COMは、学術誌を専門に、創業以来80年の歴史と豊富な実績があります。抄録や要旨集、研究報告書、技術報告書、論文集の印刷・製本サービスを提供いたします。学会や研究に携わる個人・団体のお客様からのご要望に対応し、高品質な学術冊子をお手元へお届けします。研究論文の製本・印刷についてご質問やご相談がありましたら全国どこからでもお気軽にSOUBUN.COMまでお問い合わせください。
