学会のオンデマンド(動画)配信の開催方法
まず必要なツールについてご紹介していきます。
オンデマンド配信とは 、zoomや webex 、teamsなどを利用した、リアルタイムのライブ配信と異なり、発表者が事前に動画を作成し視聴者はそれを自分のスケジュールに合わせて決められた一定期間の中でいつでも見ることができる大会のスタイルです。
・リアルでのふれあいが少なく、大会に参加しているという感じがしない。
・孤独感があり盛り上がらない。
という声もありますが、一方で録画されたコンテンツを好きな時に見られるといったところから、
・自分のスケジュールに合わせて見ることができ参加しやすい。
・何度でも繰り返し見ることができるので知識が身につく。
と、職業柄時間に縛られ参加することが難しい医療・介護・リハビリテーション系の業界をはじめ、サービス系の職業の参加者が多い学会では、大会・研修会・講習会開催の新たな手段の一つとして、コロナ禍の近年人気を得ています。
ツールの役割と予算
オンデマンド配信に必要なツールは以下の通りです。
1、参加者登録機能
2、参加者の決済機能
3、参加者専用ウェブページ
4、動画収集用クラウド
5、発表資料(動画またはPDFなどの発表資料)
6、動画アップロード用プラットフォーム(商用利用可能なもの)
7、質疑応答の方法
8、各種マニュアルまたはヘルプデスク
当日のオペレーションに大会の命運が左右されるライブ配信と異なり、オンデマンド配信型の大会では、開催までの期間の9割が大会の成功を左右します。
余裕を持って開催するには、配信開始の45日前(素材がそろった状態)から90日前にご相談いただくと問題ないでしょう。
気になるご予算ですが、大会規模にもよりますが、予算が60万円以上の場合(オンライン配信のみ)大会支援システムを導入し、参加者登録機能、決済機能、大会告知ホームページ、参加者専用Webページ、発表資料収集機能などを一元管理することも可能です。
予算が60万円以下の場合は、 Googleフォームや、フォームズを使用して参加者登録を行い、簡易的なホームページ作成を行う、または、視聴動画のURLを記載したPDFを、参加者にBCC一括メールで送信することで開催する、など様々な工夫をすることで開催することが可能です。
とはいえ、LIVE配信とは異なり、設定を誤りアップロードした発表資料が外部に流出する危険性もないとは言い切れません。
注意点をふまえ、どのような可能性があるかを事前に把握することが大切です。
次に、オンデマンド配信を行う際に気をつけるべき注意事項をお知らせしていきます。
注意事項1、YouTubeを使用することの危険性
様々なオンラインセミナーや動画配信で利用されることも多いYouTubeですが、規約で商用利用が禁止されているのをご存知でしょうか。
Youtube規約(https://www.youtube.com/static?template=terms&hl=ja&gl=JP)の商用利用については下記の(5)・(9)が関わって参ります。
(5)ユーザーの意向を無視した宣伝または営利目的のコンテンツを配信したり、一方的な勧誘や大量の勧誘を行ったりするために本サービスを使用すること。
(9)本サービスを個人的、非営利的な用途以外でコンテンツを視聴するために利用すること。
(たとえば、不特定または多数の人のために、本サービスの動画を上映したり、音楽をストリーミングしたりすることはできません。)
インターネットで、「Youtube 商用利用」などで検索すると、多くの類似記事が出て参ります。
Youtubeを使用し、学術大会などのイベント配信用にご利用されている学会・団体様ももちろん多くいらっしゃいますが参加費などが発生する場合はYouTube規定に抵触してしまう可能性があるためアカウント削除などの可能性があります。
どこからが商用利用とみなされるかが不透明な部分で、Youtubeを運営する、Google側の解釈の仕方によっては、参加費や会費の部分が有料の配信と捉えられる可能性が否定できません。
そのため他学会様でも完全無料の場合以外は、商用利用が許可された、動画プラットフォームの「Vimeo」を推奨しています。Vimeoは年間契約のため、1年を通してオンデマンドの講習会や研修会を企画することも可能です。
Vimeoの特性を生かし、大会終了後に動画を視聴したいという問い合わせにも有料の販売でニーズに応えることができ、 学会や協会の新たな収益を産む可能性もあります。
注意事項2、発表資料のセキュリティ問題
研究者にとって発表資料は財産と言っても過言ではないでしょう。
SOUBUN.COMでは、この数年で100を超える多くの学術大会研究発表会などのお手伝いをしてきましたが、私たちがオンデマンド配信で最も気をつけるのは、発表資料発表動画の情報漏洩を防ぐことです。
しかし大会によっては、一般演題数が100を超えるものも多く、様々な学会の大会実行委員の皆様からも管理が難しいという声をいただきます。具体的には
・動画収集時に他の発表者に、発表資料が目に触れないこと
・動画アップロード時のセキュリティ設定
・発表資料情報の管理
・情報漏洩を防ぐためのルールの周知を徹底すること
の4点です。
発表資料は、Dropboxのファイルリクエストを使用することをお勧めしています。
ファイルリクエストを作成し大会HPまたはURLを対象者に告知し、発表者がそのURLをクリックすることにより発表資料を投稿できる箱が出てくる仕組みです。
発表者の氏名や、メールアドレスを入力する項目があるため、管理者は、 発表者リストと突き合わせを行うことで資料提出の有無が分かり 、管理もしやすくなります。
発表者は自分のファイル以外に触れることができないため、別の発表者に発表資料が見られるということもありません。
ファイルリクエストで収集した資料は、管理者権限を与えられた運営事務局や委託先の業者と共有することが可能です。
進捗状況のチェックや、 演題のタイトル変更、動画のチェックなどを Dropbox内で行うこともでき、発表資料を一元管理するのに最適です。
また、動画のセキュリティ設定は、Vimeo上で1本ごとに詳細の設定を行います。
プライベートリンク設定、SNS共有や埋め込みの禁止などがあるため拡散を防げますが、故意に別のデバイスで録画されたものや、PDF資料のダウンロードは残念ながら防ぐことはできません。
参加者・発表者にはあらかじめ周知徹底の上、同意書を取るなどし団体の皆様全員で情報の拡散を防ぐ仕組みをご提案しています。発表資料を管理しやすい状態で収集することが、トラブル回避に役立ちます。例えば、
・発表資料提出のスケジュール管理
・発表資料のファイル名の統一化
これらをいかにわかりやすく発表者に伝えるかによって管理者・大会運営委員の皆様の手間とリスクを大きく削減することが可能です。
参加者への大会開催ルールの周知徹底も同様です。
大会参加方法や、質疑応答の仕方、公開期間、ツールの操作方法などあらかじめ明確化し伝えることで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズに会期を終えることができるでしょう。
まとめ
今回は学会のオンデマンド(動画)配信の開催方法についてお伝えしてまいりました。
SOUBUN.COMでは、簡易版のオンデマンド(動画)配信から、システムを利用した参加登録・オンライン決済・動画収集・動画アップロード・質疑応答、それからオンデマンド配信大会の開催では難しいと言われている協賛企業対応なども行なっている実績がございます。
現在大会に向けてリアル配信・ハイブリッド配信・オンライン配信の中で調整を見ながらどのように対応するべきか悩まれている方がいらっしゃいましたらそれぞれのメリット・デメリット、過去の実績例を踏まえた上でご提案させていただきます。
ご予算に合わせた最適なプランをご提案させて頂きつつ、安全に大会を開催する方法をお客様と共に考えご提供させて頂きますのでお悩み事・お困りごとがある際はぜひお気軽にSOUBUN.COMまでご連絡ください。