プレプリント公開サービス「Jxiv(ジェイカイブ)」とは

プレプリントとは、ジャーナルに掲載される前の論文のことです。
査読を経ていないため間違いもあり未完成の論文ではありますが、プレプリントの公開によりいち早く最新の研究に関する情報交換が可能となり、研究を加速させます。
今回は、日本初の本格的なプレプリントサーバとなるJxivの使い方や注意点について解説いたします。

プレプリントサーバーJxivとは?

科学技術振興機構(JST)が開始した新サービス

Jxiv(ジェイカイブ)とはJ-stageを運営する科学技術振興機構(JST)により2022年3月に開設された、査読前の論文(プレプリント)を公開・閲覧できるサービスです。
分野を問わず、医学や化学、物理学や生命科学から人文学、学際研究など幅広いジャンルの論文を投稿することができます。
公開・閲覧は無料であることに加え、DOIの付与や二次利用のライセンスの設定も可能です。

プレプリントサーバーは海外では急速に成長しその地位を確立させている一方、日本には本格的なサーバーがありませんでした。JSTが日本語でも投稿可能なサーバーを開設したことは、日本国内における研究の発展と成長を促すと予想され、この先の動向に注目されています。

そもそもプレプリントとは?

プレプリントとは、査読を経てジャーナルで公開される前の論文のことです。
論文の公開には、査読やリバイスを経て数ヶ月〜1年、長ければ数年の時間がかかります。そのため、プレプリントの公開は研究成果の迅速な共有につながります。特に近年、新型コロナウイルスに関連する研究成果共有のために、プレプリントサーバーは近年急速な発展をとげました。
一方、あくまで通常の公開とは異なるので、未完成な論文として認識することも大切です。

Jxivを使うメリット

スピーディーな情報交換

プレプリントの一番のメリットは即時性です。ジャーナルに掲載するよりも圧倒的に早く論文を公開することができます。
そして、Jxivは申請から48時間以内(営業日除く)で公開することができます。
自分の研究成果をいち早く公開・共有することで、スピーディーな情報交換や議論を行い研究を加速させます。

SNSとの親和性

プレプリントはSNSとの親和性が非常に高いです。自身が執筆した論文をTwitterやFacebookで共有し、意見交換を素早く行うことができます。
また、SNSは簡易的な査読の代わりにもなり得ます。論文をSNSで拡散する中で多くの専門家の目に触れ、査読前の論文ということもあり批判的な姿勢で閲覧されるでしょう。そのため、論文の内容に不正確な情報があったとしても、多くの研究者による厳しいチェックにより速やかにミスが発見されると期待されています。

Jxivの使い方

論文公開までの流れ

Jxiv論文公開には以下のようなプロセスがあります。

①投稿用アカウントの作成
Jxivアカウント作成には、研究者を識別するreserchmapまたはORCIDが必要となります。すでにアカウント作成済みの方はログインします。

②原稿データのアップロード
アップロードは無料で実行することができます。また、投稿者は論文の二次利用に関連するライセンスを定めることができます。投稿する原稿データについては、Jxivの利用規約を確認しましょう。

③JSTによるチェック
JSTが論文を簡易的にスクリーニングします。チェック項目は論文の体裁や倫理的・法的な問題に止まり、正確性や信憑性の確認は行われません。

④オープンアクセスで公開
公開されたプレプリントは無料かつアカウント不要で読むことができます。また、論文には国際的識別子「DOI」が付与されます。

⑤批判や疑問に応じて改版
公開した論文はジャーナルに掲載されるまでは改版が可能です。ただし、差し替えではなく改版であり、前の版を削除することはできません。

Jxivへの投稿条件

Jxivでは投稿する際に以下のような投稿ガイドラインを定めています。

必要事項の登録

タイトル、抄録、著者名、電子メールアドレス、国名、所属機関、キーワードを登録する必要があります。また、人文系の研究ではあまり見ない「利益相反に関する開示」が求められる点にも注意が必要です。

ジャーナルに受理・公開されていないこと

既にジャーナルにて受理または公開されている論文はJxivに投稿できません。また、既にジャーナルへ投稿している論文は、ジャーナルより許諾を得た上で投稿するようにしましょう。

他のプレプリントサーバーに公開されていないこと

他のプリントサーバーで公開済みの論文はJxivで公開することができません。二重投稿とならないよう十分に気をつけましょう。

投稿予定のジャーナルの規定により公開可能であること

ジャーナルによっては掲載予定の論文の事前公開を禁止しているものもあります。事前に確認した上で投稿しましょう。

また、ガイドラインには明記されていませんが、Jxivへ投稿される論文は「ジャーナルへの投稿を目的として執筆した論文」を前提としております(2023年2月現在)。Jxivのみへの掲載は避けた方が良いかもしれません。

Jxivを使う上での注意点

あくまでもプレプリントである

プレプリントは査読を経ていない論文であり、間違いを孕んでいる可能性も高いです。普段論文を目にするとき以上に、懐疑的・批判的な姿勢が求められるでしょう。また、投稿者は論文の改版を行うことができるため、疑問や批判は論文のブラッシュアップにも繋がります。投稿者のためにも、プレプリントは厳しい目で見ることが肝要です。

research mapの登録かORCIDが必要

アカウントの作成にはJSTが運営する研究者情報データベース「research map」への登録、または研究者識別用の識別子「ORCID」のIDの取得が必要となります。ただ、どちらも比較的簡単に登録できるため、どちらも持っていない人はJxivへの投稿をきっかけに登録することをおすすめします。

ORCIDについてはこちらの記事もご参照ください。

研究者を識別する「ORCID(オーキッド)ID」とは?調べ方と登録方法

論文掲載はSOUBUN.COMまで!

SOUBUN.COM(創文印刷)ではJ-STAGEの掲載対応も実施しております。
論文の電子化や、J-STAGE(電子版)のみの学会誌発行など、学会専門会社の弊社にぜひお任せください。

SOUBUN.COM(創文印刷)の電子ジャーナル発行サポートはコチラ>>

ノウハウ

ノウハウの記事をもっと見る

学会運営ジャーナルTOPへ

全国対応可能!学術大会運営サポート 100名~1万名規模まで幅広く対応可能
学会専門会社だからできる 学会運営がラクになる 学会HP制作
ネット印刷には真似できない充実のサポート 学会誌・学術誌 印刷サポート
学会事務局運営代行 煩雑な業務を代行して、時間もコストも削減
お問い合わせ
学会運営相談 無料相談はコチラ
学会総合サポート企業国内No1
“とりあえず概算見積もりだけ” とりあえず概算見積もり
“専門スタッフに相談したい” 専門スタッフに相談 
“今すぐサービス資料が見たい” サービス資料が見たい