グラビアは凹版印刷の一種で、細かい凹点(グラビアセル)内に詰められたインキの量によって濃淡を表現します。版の窪んだ部分にインキをためて、それを圧胴の圧力でインキを転移させて印刷します。

特徴としてはインキを載せ転移させる量が一定であるという計量精度に優れています。1インチあたり何本セルが入っているかというスクリーン線数にもよりますが、セルが浅ければ少ないインキが入りますし、深ければ多くのインキが入ることにより高精度な細密な再現性が得られます。インキの転移量を細かく調整できるので、非常にカラー再現にすぐれているという印刷手法です。

また、グラビアインキは一般的に油性インキが主流です。アルコールやトルエン、酢酸エチル等のインキ溶剤が使われています。最近は環境等の問題でトルエンを使用しないインキや、逆に水性のインキが出ていますが、基本的には油性インキになっています。

一般的に、プラスチックフィルムは濡れ性が悪く水を弾く性質があります。そういう被印刷体にインキをつける場合に、グラビアで印刷が向いている理由のひとつに油性の性質をもっているので付着性がいいことがあげられます。もうひとつは、カラー再現の中で細かな印刷がしやすいことがあります。

グラビア印刷を用紙に印刷する場合だと紙の表面は多少凹凸があるために、インキが付かなかったり付き過ぎたりすることがありますが、その点プラスチックフィルムへのグラビア印刷だと表面は非常に平滑性がありグラビアの版も表面が平らで窪みがあります。そういう意味では平らな面に平らな版をつけるということで大変適しているともいえます。

紙の場合はグラビアだとかすれぎみになることもありますが、平滑なフィルムはかすれることはありません。そういう意味ではグラビアの相性がいいといえるでしょう。

ルネッサンスの頃には、凸版木版画より利便性が高い凹版銅版画とされていたようで版画の世界で有名なエングレイヴィング(ビュランというノミを使って直接銅版を彫る技法)や、1513年にはドイツのグラーフによって銅を腐食して凹版とするエッチングが考案されています。エッチングは腐食液に耐えるグランド液を塗り、ニードル(針)で描画、腐食液で描画部分を腐食(エッチング)してグランドを除去します。その後、インキを詰めて非画線部のインキを拭き取り湿らせた紙に印刷します。現在は母材となる鉄の円筒をメッキして真円に研磨した後で、階調や濃淡を凹部をどのようにして表現するかによって製版を変えています。種類としては、前述のコンベンショナルグラビアや、網グラビアといった腐食による技法とダイアモンド針で機械的に銅シリンダーを直接彫刻してメッキ仕上げするヘリオクリッショグラフや、ダイレクトエッチングといった電子彫刻法があります。

また、偽造が難しい手彫刻による方法などもあり、他の版式とは非常に異なる特徴が凹版印刷にはあります。例えば、潜像凹版や微小文字、機能性インキが使われた偽造防止が可能なことから、紙幣や有価証券、芸術性の高い絵画などにも凹版が活躍しています。

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