数式組版における一般的な表記ルールと主要ソフト

学術論文では数式を扱う機会も少なくありません。印刷用にレイアウトするにあたっては、美しく表現するために通常の文字とは異なる配置ルールを理解する必要があります。そこで本記事では、数式組版に主な表記ルールを簡単に解説し、数式組版で利用されるソフトウェアについて紹介します。

組版とは?

組版とは印刷物制作のプロセスのひとつで、専用ソフトウェア上でテキストや図版などをレイアウトして印刷用のデータを作成する作業を指します。

版とは、印刷するために用意される型のようなものです。もともと活版印刷という印刷方式では鉛などの金属で作られた活字を組合わせて印刷用の版(刷版)を作成していたので、「組版」と呼ばれています。

組版とDTPとの違い

印刷物制作においてDTPという言葉があります。これはデスクトップパブリッシングの略称で、パソコン上でデザイン、組版、印刷用データ出力など印刷する前の一連の印刷物制作を行う作業になります。

現在はDTPによる印刷物制作が一般的で、デザインと組版は同じオペレーターが行うことが多いです。そのため、現在は組版というとDTP作業の一部分だと理解するとわかりやすいでしょう。

数式組版の主な統一ルール

印刷用のデータを作成する組版では、美しく文字を配置するためのルールが数多くあります。中でも数式を表す数式組版は一般的な文字組版とは異なるルールや細かなルールがあるため、印刷会社のなかでも専門に取り扱う会社があります。

日本語組版については、工業規格であるJIS X 4051(日本語文書の組版方法)で要件が規定されています。これは主に書籍に適用する組版規格です。
参考:https://kikakurui.com/x4/X4051-2004-02.html

Web関連技術の標準化を行う非営利団体であるW3C (World Wide Web Consortium)でも「日本語組版処理の要件(日本語版)」という文書を公開しています。これはW3Cの標準仕様に日本語組版に必要な要件を反映する目的で作られた文書で、JIS X 4051をベースにCSSやXSL-FOなどを利用した組版におけるルールを記載したものです。

一般的な印刷物はInDesignなどの専用ソフトウェアで組版を行い、印刷データを作成します。それに対してWebシステムに情報を登録して印刷用データを自動生成する自動組版や、ひとつのXMLをWebや印刷物にマルチユースする場合には、CSSやXSL-FOでレイアウトを規定します。また電子書籍のフォーマットであるEPubのレイアウトはCSSで行います。そのためWebの標準団体であるW3Cで、組版ルールを策定して公開しているのです。

ここでは、数式でよく使用される添え字と等号・演算記号の組版ルールを紹介します。

①添え字(上付き・下付き文字)処理

添え字とは、文字のそばに付ける上付き文字または下付き文字のことです。平方メートルの「m2」の2の部分にあたります。

横書きルール:
・添え字は、親文字の前か後ろ側にひとつ、または2つの添え字列をつける
・添え字の配置位置は、上付き文字の場合は親文字の右側上部または左側上部、下付きの場合は親文字の右側下部または左側下部に横書きでピッチ処理(※1)して配置する
・上付き文字列及び下付き文字列と親文字との字間は,ベタ組(※2)とする
・添え字を含む親文字群中の文字の字間は,分離も分割もしてはいけない

※1 ピッチ処理とは、文字を個々の文字の固有の配置位置に応じて並べること
※2 ベタ組とは字間を空けずに文字を配置すること。

②等号類と演算記号の処理

等号とは「=」、演算記号とは「+ー×÷」などの記号を指します。

横書きルール:
・等号類、演算記号の字幅は全角とする
・独立した式として数式、化学式を表す場合には、等号類と連数字中の文字、欧文用文字および親文字群中の文字との字間は,四分アキとする
・独立した式として数式、化学式を表す場合には、演算記号と連数字中の文字、欧文用文字、および親文字群中の文字との字間は,ベタ組とする

数式組版に使われる主なソフト

数式組版を行うときに制作側が使用するソフトウェアには以下のようなものがあります。

①TeX(テック/テフ)

TeXは、スタンフォード大学のDonald. E. Knuth氏が開発した数式表現に長けたフリーの組版ソフトウェアです。研究者をはじめ多くの人に利用されていて、学術論文でもよく利用されています。

日本語版はいくつかありますが、よく利用されているのが日本語、縦組みに対応しているpLaTeX2e(ピーラテフトゥーイー)です。アスキーが提供していたものを、現在はドワンゴが引き継いで公開しています。(参考元:https://asciidwango.github.io/ptex/)

またWord2019およびOffice365ではTeXの派生形であるLaTeXをサポートしているため、ある程度の数式であればWordで作成可能です。Wordを起動して[挿入]_[数式]_[新しい数式の挿入]で数式が入力できる状態になります。

②InDesign

InDesignとはアドビシステムズ社が提供している組版ソフトウェアです。印刷会社でも利用しているところが多く、組版ソフトウェアのデファクトスタンダードと言ってもよいでしょう。サブスクリプション型で提供しており、学生・教職員向けの割引プランも提供しています。

InDesignで数式を作成する場合は、OpenTypeフォントで上付き文字や分母といった機能を使って数式を表現することになります。分数や指数は問題ありませんが、複雑な数式には対応できないためサードパーティ製のプラグインが必要になります。SCREEN ICT ソフトウエアが提供する「数式αプラグイン」などがあります。

③MC-B2・MC-Smart

MC-Smartは、モリサワが開発・提供している組版ソフトウェアパッケージです。オプションで「専用数式フォント」と「数式エディタ」を利用することができます。年額30万円という価格であり、個人用途ではなく、主に印刷会社で利用されている専門性が高いソフトウェアです。

④Math Type・MathMagic

MathTypeは、学術論文でも利用される数式専門の組版ソフトウェアです。ビジュアルエディタを使用して数学を簡単に作成できるのが特徴です。サブスクリプション型で提供しており、教育機関向けの割引があります。

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数式の組版は難易度が高く、美しく表現したい場合には専門の企業に依頼するのが最適です。おすすめは数式組版を得意とする印刷会社に制作を依頼することです。

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