論文のリポジトリとは

論文のリポジトリ「機関リポジトリ」
リポジトリ (英: repository)とは、バージョン管理システムでは、ソースコードやディレクトリ構造のメタデータを格納するデータ構造のことを指しますが、日本では機関リポジトリを指すことも少なくありません。
論文におけるリポジトリとは、どのようなものでしょうか。解説いたします。

リポジトリ【repository】とは

リポジトリとは、容器、貯蔵庫、倉庫、集積所、宝庫などの意味を持つ英単語です。しかし、ソフトウェア開発などで用いるプロジェクトやバージョンの管理システムなどで、そのプロジェクトのプログラムを構成するソースコードやドキュメント、各種のデータやファイルなどを一元的に管理し格納する「プロジェクト管理やバージョン管理におけるリポジトリ」や、多数の設定や属性情報を管理者が一元的に把握・管理するためのシステムで、データを統一的に扱うために用いられる仕組みをもつデータベースである「システム管理ソフトなどのリポジトリ」などデータやプログラムの情報を格納するデータ構造などのことを一般的には指します。

その一方で、大学や研究機関が主体となり、研究者が作成した研究や教育成果物などの電子データを体系立てて保管する「機関リポジトリ」があります。

機関リポジトリ(IRDB)とは

それでは機関リポジトリとは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

国立情報学研究所では機関リポジトリを「大学とその構成員が創造したデジタル資料の管理や発信を行うために、大学がそのコミュニティの構成員に提供する一連のサービス」としています。

つまり、機関リポジトリは大学や研究所などの学術機関による知的生産物である学術雑誌論文、研究報告、紀要などさまざまな資料を収集し、メタデータを付与して電子的に蓄積・保存し、インターネットを通じて無償で学内外に提供するシステムです。

そして、学術機関リポジトリデータベース(IRDB)には、700以上の大学や施設が登録され(※)、知の発信がなされることで、学術研究・教育活動の発展に寄与、広く社会に貢献されています。

※機関リポジトリ一覧 : https://www.nii.ac.jp/irp/list/

 電子ジャーナルとの違い

大学や研究施設では施設としてPubMedやCinii、メディカルオンライン等に契約していることがほとんどであるため、施設からは無償でアクセスしているように思える電子ジャーナルでも実は有料であることがあります。

しかし、学術機関リポジトリに登録されている論文は、誰でも自由に無料でアクセスすることができるため、認知性が高まるといえます。

それにより、論文の引用率が高まる可能性もあります。

大学や研究機関が主体となり作り上げたオープンアクセスのひとつとして学術機関リポジトリが機能しています。

機関リポジトリのメリットとデメリットについて

機関リポジトリのメリット

誰でも簡単に無料で論文を手に入れることができる点です。今まで入手困難だった論文も、機関リポジトリによって簡単に読めるようになります。

また、研究者の場合、論文の可視性が向上することで評価が高まりやすくなる点がメリットです。機関リポジトリに論文を登録することで、アクセスされやすくなり、多くの人々の目に触れるようになります。その結果、より多くの人に論文が読まれ、引用され評価が高まる可能性があるということです。

さらに、大学の場合、社会に研究・教育活動の説明責任を果たし、その成果を社会に還元することができます。その結果、地域連携や産学連携が促進されたりする点がメリットであります。

機関リポジトリのデメリット

機関リポジトリを運用するのにコストがかかる点です。初期費用やサーバー代がかかるため資金が必要であり、管理する人材の確保が必要となります。これらの解決方法として、運用管理を行ってくれる企業を利用することで、コストをや手間を省くことが可能です。

機関リポジトリに登録する際の著作権問題

機関リポジトリ登録後でも、論文の著作権は著作者本人にあります。著作権問題について、すでに学会誌に掲載されていたり、出版物として発行されている論文を登録する場合には注意が必要です。その論文の著作権が出版社や学会に既に譲り渡されている可能性があります。もし、全面的に著作権が出版社に譲渡されている場合は出版社の方に許諾を得る必要があります。また、学会誌掲載論文を機関リポジトリへ登録したい場合は、どこに著作権があるのかを知るために、各学会の規定を確認する必要があります。例えば、学内の研究紀要をリポジトリで公開しようと考えている場合も、通常、著作権は著者本人が持っています。そのため、著者から承諾を得る必要があります。

ほとんどの場合、こういった著作権処理は専門的な大学図書館職員が行います。

学会のことならSOUBUN.COM

ITにおけるバージョン管理のリポジトリとも異なり、電子ジャーナルと同じような性質を持ちながらも異なる性質をもつ「機関リポジトリ」についてご紹介しました。

研究成果を1秒でも早く発表することは世界中の研究者が競っていますが、知識を無償で公開し発展させていく「機関リポジトリ」は、日本人の心が垣間見えるように思えます。

SOUBUN.COMは、学術誌を専門に80年の歴史があり、学会誌の作成はもちろん、機関リポジトリ用のメタデータ作成からPDF作成についても多数の実績があります。ぜひお気軽にSOUBUN.COMまでお問い合わせください。

 

 

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