無料論文アーカイブ「PMC」とは?メリットや申請方法を解説

PMC参考画像

「PMC」とは、アメリカの国立医学図書館にある、生物医学・生命科学分野のジャーナルのオンライン論文アーカイブです。そこに論文を収載することで、執筆者・出版元はさまざまな恩恵を受けることができます。収載のメリットと条件、申請方法について解説します。

そもそもPMCとは? その特徴と目的

「PMC」は、米国の国立医学図書館(NLM)にある、生物医学および生命科学分野のジャーナルのオンライン論文アーカイブです。
NLMの1部門であるアメリカ国立生物工学情報センター(NCBI)が、膨大な論文などの文献をフルテキストの1次情報データベースとして管理・運用し、インターネット上でオープンアクセスにしているもので、NLMの保管する印刷物ジャーナルのデジタル版としても機能しています。

1999年3月、ノーベル賞受賞者でもある当時の所長ハロルド・ヴァーマス氏が、生物医学分野の論文や収録などの研究成果を無料で閲覧できるオンラインサービスを提案したことで、PMCの前身「PubMed Central(パブメド・セントラル)」が創設されました。翌2000年2月にサービスがスタートし、2020年8月現在、検索できる記事数は630万以上に上ります。

MEDLINE・PubMedとの違い

医学系の研究者にとって、なくてはならない「MEDLINE(メドライン)」や「PubMed(パブメド)」。この2つはPMCと何が違い、どのような関係があるのでしょうか。

MEDLINEとは、NLMが管理・運営する生物医学・生命科学分野の文献の2次情報データベースで、論文のアブストラクトと著者や発行年などの書誌情報のみ掲載しています。現在では、世界中で発行された生物医学・生命科学のジャーナル記事2600万以上を参照できます。MEDLINE に収載する文献は信頼性の高いものに限られ、MEDLINE委員会による非常に厳しい審査が必要です。それに対し、PMCは、ある一定の条件を満たせば収載することが可能で、MEDLINEよりその審査は比較的容易です。MEDLINEが書誌情報のみであるのに対し、PMCでは全文がオープンアクセスとなっています。

一方のPubMedは、同じくNLMが運営主体となって提供する無料検索エンジンです。PubMed で検索できるのは、MEDLINEデータベースのほか、PMCのデータや米国内で提供される情報のみを扱うWebサイト「MedlinePlus」のデータがあります。PMCは2000年のスタート当初、「PubMed Central」という名称でしたが、検索エンジンであるPubMed との混同を避けるため、2012年にPMCに改名しました。

PMCの検索方法と活用方法

生物医学・生命科学分野の論文を書く際は、PMCの情報が欠かせません。
検索する方法を解説していきます。

①まずPMCのホームページ(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/)にアクセスし、検索したいワードを入れて検索します。

➁検索ワードの入力欄左のドロップダウンリストから、検索するデータベースを絞ることができます。PubMedとは相互にリンクしており、ここでPubMedを選択して検索すると、そのままPubMedのホームページに遷移して検索結果を出します。
もっとも、ほとんどの論文はPMCに収載されているので、理由がない限りはデフォルトのPMCにしたままで構いません。

③PMCでは、目当ての論文が検出されたら、論文名をクリックすることで全文が表示されます。そのままPMCの画面でも閲覧できますが、論文の表示画面右上にある「Formats」から、「PubReader」「ePub」「PDF」「Citation」の4つの表示形式を選ぶことも可能です。

一般的にはPMCでの閲覧がおすすめです。PMCでは画面右側に、PubMedに収載されている類似論文へのリンクが表示されたり、文献の引用個所のすぐ横に文献情報やリンクが表示されたりしていて、クリックするだけでリンク先に飛ぶので非常に便利です。

PMCに収載するには? メリットと審査基準

論文がPMCに収載される最大のメリットは、多くの生物医学・生命科学分野の研究者が参照するPubMedでの検索にヒットするようになることです。また、アブストラクトと書誌情報だけでなく、論文の全文が掲載されるのもPMCならではのメリットです。

論文が世界中の研究者の目に触れることで、引用される機会が増えるのはもちろん、同じ研究をする人との人脈ができたり、関連するプロジェクトに関わる機会ができたりする可能性も広がるので、論文執筆者にとってのメリットは非常に大きいのです。

PMCへの収載を申請できるのはジャーナル単位であり、論文単位では収載できません。つまり、PMCに論文を収載されるためには、PMCと契約を結んだジャーナルに論文を掲載することが必要です。論文を掲載するジャーナルを決める際には、PMCに収載できるかどうかも調べるとよいでしょう。

なお、審査基準はMEDLINEほど厳しくはありませんが、後述の要件や技術審査をクリアする必要があります。

PMC収載のための申請手順とプロセス

PMCに収載申請をするためには、電子ジャーナル・紙媒体ジャーナルを問わず、以下の要件を満たす必要があります。

・ISSNを取得している
・ライフサイエンスの分野のジャーナルである
・創刊から2年以上経っている
・査読済の論文を25以上出版している
・英文誌である
・ジャーナルのWebサイトが英文で公開されている

以上の条件をクリアしたら、申請ができます。申請には、ジャーナルのタイトルとISSN、創刊年月日と発行頻度(月刊・季刊など)、ジャーナルの英文サイトのURLと記載されている情報(編集委員会・編集ポリシー・査読プロセス・人権および動物の権利・インフォームドコンセントなど)を提出します。

また、PMCに収載する論文データは、PMCの規格に基づくXML形式で発行元が作成・提供するため、申請にはXMLファイルの作成技術が必須です。サンプルデータについてPMCから修正の指摘があった場合は、その都度修正し、合格するまでデータを送ります。

提出した情報とサンプルデータをもとに審査が行われ、合格すればいよいよPMCとの契約の手続きをします。万一、審査に落ちてしまった場合、2年経過しないと再申請はできません。

収載にはXMLファイルの作成が条件

PMCにデータを収載するには、XMLファイルの知識と作成技術が必要です。Wordで作成した文書をオンライン変換ツールでXMLに変換する方法もありますが、完全に変換されない場合もあるうえ、PMCの指定する規格に合っているかどうかの確認も必要です。PMCとのやりとりは英語で行う必要もあり、それらのスキルを備えた人材の確保は簡単ではありません。

PMCの申請と掲載の委託

SOUBUN.COMでは、XML変換とともにPMCへの申請代行サービスも行っています。申請時のサンプル作りだけでなく、契約後も継続して論文データのXML変換は必要になるため、専門知識や経験の豊富な業者を活用するのもひとつの方法です。

PMCへの掲載は、論文執筆者のメリットになるだけでなく、ジャーナルとしての信頼度が上がり、論文投稿数の増加も見込めるため、発行元にとっても大きなメリットとなります。ネイティブとの英語のやりとりやXMLファイル作成などのハードルは高いですが、代行サービスの利用も視野に入れ、ぜひチャレンジしてみましょう。

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