研究者の貢献度を示す「h-index」の調べ方と目安

h-indexは研究者の研究分野への貢献度を示す指標です。その数値はどのように算出され、何に使われるのか、また自分の論文のh-indexはどのように調べるのかなどの基本について、詳しく解説します。

h-indexとは?

h-index(h指数)とは、いくつか考案されている研究成果を定量化する指標のひとつです。

研究者の研究成果に対する評価はその内容や社会的な重要性、所属する分野など様々な要素が絡むため客観的に示すことは困難です。

しかし採用活動の際など何らかの数値化判定が必要な場合があります。よって近年、被引用数と論文数のバランスを意識した数値であるh-indexが用いられています。

 

h-indexの定義

h-indexはアメリカの物理学者Jorge E. Hirsch氏が2005年に発表した指標です。

その定義は「発表した論文のうち、被引用数がh回以上ある論文がh本以上ある場合、これを満たす数値hがその研究者のh-indexとなる」とされています。

たとえば、10回以上引用されている論文が10本以上ある場合、h-indexの数値は「10」となります。この数値が高くなるほど研究分野への貢献度が高いと評価されます。

研究成果を評価する際、論文数だけに頼ると内容や質の高さが明確に分かりません。また引用数だけに頼ってしまうと、それがたった1本の論文で得られたものなのか、10本の論文を出した結果なのかが分かりません。

それに対してh-indexは論文の質と量の両方を定量化した数値になります。

具体的には被引用数が10回以上ある論文を10本発表した研究者のh-indexは「10」ですが、被引用数が100回以上ある論文を1本と一度も引用されない論文を9本発表した研究者は「1」です。

このように質・量ともにバランスよく高い研究者の数値は高くなります。

またメリットとして算出方法が簡単で計算しやすいことや、Web of ScienceやScopus(スコーパス)といったデータベースの活用で数値の自動算出が可能なことが挙げられます。

 

h-indexの計算方法

以下の方法で簡単に算出することが可能です。

①自身著作の論文を被引用数が多い順に並べ替え、ランキングの順位を振ります。
このとき、引用数の少ない論文まですべてを含める必要はなく、多いものから半分程度で構いません。またランキングは論文の本数を表すので、同数の引用数でもランキングは一つずつ上げていきます。

例)
h-index 例1

②そのランキングの順位の数字が被引用数よりも大きくなる直前の順位が、h-indexの数値です。上の例でいうと、順位の数字が引用数を上回るのは「6位」となり、その前である5がh-indexの数値となります。

 

h-indexの調べ方

ランキングによる算出方法は簡単ですが、論文数が多い場合は非常に手間のかかる作業となります。

また被引用数の多い論文を見つけ出すのも大変です。その場合は「Scopus」や「Google Scholar」、「Web of Science」などのデータベースを利用し、該当の論文を絞り込んで検出するだけで自動的に算出されます。

ただ「Scopus」や「Web of Science」のデータベースはだれでもアクセスできるわけではなく、所属している大学や機関のPCを使ったり、許可されたアカウントのIDやパスワードを使用したりしなければサイトにアクセスすることは出来ません

しかしアクセスさえできれば、著者名検索で自分の論文を検出し、細かい条件で必要な論文だけに絞っていくだけなので簡単です。

「Google Scholar」を使ったh-indexの調べ方

「Google Scholar」(https://scholar.google.com/)はgoogleアカウントがあれば自宅のパソコンから誰でも簡単にh-indexを検索できます。以下の手順で調べられます。

1. Google Scholarの画面左上にある「マイライブラリ」をクリック
2.プロフィール画面で必要事項を入力(名前だけでも可)
3.「次へ」をクリック
4.論文の一覧が出るので、名前やジャーナル名で検索し、自分が執筆した論文をすべて選択し「追加」していく
5.すべての論文を追加したら「次へ」をクリック
6.プロフィールの公開設定を決め、「完了」をクリック
7.プロフィール画面に移り、選択した論文がすべて一覧になっていることを確認
h-index参考画像

これでプロフィール画面右に「h指標」としてh-indexが表示されます。なお、マイライブラリに登録する論文は、あとから追加や削除ができます。

 

h-indexの目安

h-indexが算出できたら、その数値の目安を把握しましょう。

例えば、生命科学分野においては25〜30が研究者として優れた業績の目安とされることがあります。また、2005年までの20年間のノーベル物理学賞受賞者の平均値は40程度と言われています。
h-indexを教授、准教授、助教など教員の能力判定の指標のひとつとする大学もあるようです。

ただ、後述するようにこれは指標の一つとしては有用ですが弱点や注意点も存在します。そのため、数値はあくまでも目安とし、同じ分野で活躍している人や身近な人の数値を参考にする程度に考えましょう。

 

h-indexの注意点

h-indexを指標として使う場合には、これらのデメリットについても認識することが大切です。

論文数や被引用数は研究期間が長いほど増えるため、長く研究をしている人のほうが当然数値は高くなります。そのため、優秀であっても論文数がまだ少ない若手研究者の貢献度が数値が低く、評価されにくいという問題があります。

ただしこの問題を解消するため、近年は対象論文を直近5年間に限定する「h5-index」という指標が使われることがあります。

また一つの論文を書くのに長期的な研究や観測を要したり、慣習的に引用をしなかったり、研究内容に特徴があったりすると実際の貢献度にかかわらず数値が低くなってしまいます。

h-indexの算出方法では被引用数の絶対値の情報が抜け落ちてしまいます。この欠点については、先に計算方法の説明で使った例と、以下の例を比べてみるとわかりやすいでしょう。

例)
h-index 例2

上の例では、100を超える被引用数を持つ論文が4つもありながら、h-indexの数値は先の例と同じh=5となってしまいます。これでは論文の貢献度が正しく評価されません。

広く活用されているh-indexですが、このような欠点があるため研究者や研究内容を評価する際は正確な判断ができません。g-indexやe-indexなど、ほかの指標もそれぞれの長所と前述した欠点を踏まえた上で複合的に用いることが大事です。

数値にならないような研究内容にも着目し、あらゆる情報を総体的に評価した方が賢明でしょう。

 

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