研究者を識別する「ORCID(オーキッド)ID」とは?調べ方と登録方法

この記事ではORCIDの紹介、検索方法、取得方法をご説明致します。 研究者個々人を識別できるORCID(オーキッド) IDは、研究者自身が簡単に登録・管理することができます。 ORCIDの目的や現況、登録方法や活用方法を把握し、研究活動に役立てましょう。

そもそもORCID(オーキッド)とは?

ORCIDとはOpen Researcher and Contributor IDの略称で、世界中の研究者が無償で使用できる、個人を識別するためのIDです。またその発行システムそのものや、それを管理・運営する組織ORCID Inc.を表す名称でもあります。

ORCID Inc.は2010年に米国で設立された非営利団体です。研究者、研究機関、大学、出版社、学会、資金助成組織、学術情報関連企業など、学術研究のさまざまな関係者からなります。2012年10月にORCID IDと呼ばれる研究者識別子を付与するサービスを開始して以降、世界中の学術コミュニティで支持されており、2019年12月31日時点でORCIDの登録者は約780万人にも及んでいます。

ORCID IDがもたらすメリット

これまで、学術論文に記録される著者名の表記はジャーナルによっても異なり、同じ研究者でも論文によって表記がまちまちであることもよく見かけられました。また同姓同名の研究者、所属機関の変更、結婚などによる改姓などもあり、論文データにある著者名から研究者を特定することは非常に困難でした。

さらに、近年では研究の国際化・多様化が進んだ結果、国や学術コミュニティの枠を超えて同じ研究に携わることも増え、共著者が数百人に及ぶ論文も少なくありません。

そうした環境の中、個人を識別できるORCID IDによって、研究者と論文や著書などその人の研究成果を正確に結び付ける「名寄せ」ができるようになりました。その結果、多くの関係者にメリットがもたらされています。

研究者にとっては、ORCIDのIDのもとに自身の所属機関やEメールアドレスと言った基本情報のほか、略歴や研究業績を登録し、公開(又は非公開)することも可能で、自ら世界に向けて業績を提示することができます。また、人事公募や研究助成の応募の際にORCID IDを示すことで煩雑な応募用書類の作成を省くことができます。

募集を行う助成機関にとっては申請者の情報管理がやりやすくなり、選定作業を省力化できます。大学や研究機関にとっては所属するメンバーの評価に役立てられ、学会では学会員のプロフィールの管理や、研究成果の公開に活用できます。

このように、研究者だけでなく様々な立場の人々に多様なメリットが期待できます。

ORCID IDの検索方法

ORCID公式サイトのホームページ(https://orcid.org/)から、誰でも簡単に登録者の情報を検索することができます。ただし、登録者が情報を公開していた場合に限ります。
調べ方は、ホームページの右上にある検索ワード入力欄に、名前が分かっている場合は名前を入力します。名前の一部しかわからなくても、入力すれば、該当する登録者のORCID IDとFirst Name、Last Name、Other Names、Affiliationsが一覧表示されます。もう少し詳しく絞りたい場合は、検出結果一覧の右上に新たに表示される「ADVANCED SEARCH」を押して表示される画面から、より詳しい絞り込みを行いましょう。

ORCID IDから氏名を検索する場合は、検索ワード入力欄にわかっているIDを入力すると、上記と同じ項目でそのIDの登録者のみが検出されます。また、IDが分かっている場合はブラウザにURLとして「https://orcid.org/」に続けてIDを入力すると、そのまま登録者のページに飛びます。

ORCID IDの取得方法

ORCID IDを取得するには、ORCID Inc.のホームページで登録すれば自動的に付与されます。
ホームページ右上の「SIGN IN/REGISTER」ボタンを押して登録画面に移動し、名前とeメールアドレス、パスワードを設定して入力し、公開・非公開を設定するだけで、すぐに登録できます。ORCIDへの登録もデータの利用もすべて無料です。

登録が終わると、入力したEメールアドレス宛にORCIDから、次にするべき情報追加のやり方や助成金公募や論文などについて詳しく書かれたメールが届きます。すぐに確認し、マイページの内容を充実させましょう。なお、マイページの左上にある16桁の数字がIDです。

登録はアカウントがあれば簡単にできますが、大切なのは、ID取得後の設定や論文登録など内容の構築をどのように行うかということです。

Visibility settings(公開設定)に関する注意点

登録の際にVisibility settingsを設定します。これは、自分の登録内容の公開範囲を決める設定で、「Everyone」「Trusted parties」「Only me」から選びます。ORCID IDの意義を考えれば、すべての人に公開したほうがよりメリットを得られますが、ここで気を付けるべき点は、「Everyone」を選択するとORCID登録者だけでなくORCIDのサイトを訪れた誰にでも閲覧可能という点です。もし、許可した人たちにだけ公開したい場合は「Trusted parties」を選び、公開する所属やユーザを選びます。なお、この設定は後から変えることも出来ます。

ORCIDに論文を登録する

ORCIDのマイページに自分の名前や国名、他に持っているID、Eメールアドレス、所属先、経歴や業績などの基本情報や論文を追加登録できます。自分で手入力をしても登録できますが、ORCIDと連携しているデータベースであれば、各データベースのWebサイトから自分の論文を選び、簡単にORCIDに登録することができます。

マイページの一番下の「works」をクリックすると「LINK WORKS」としてORCIDと連携しているデータベースの一覧が表示されます。自分の論文が搭載されているデータベースに飛び、そこから論文を登録しましょう。
また、これから出版される論文であれば、出版社のサイトや論文投稿システムでもORCIDに紐づけできる場合があります。

ORCIDの注意点とデメリット

ORCIDは研究者以外に学生はもちろん、誰でもアクセスすることができ、また登録もアカウントさえあれば簡単にできます。そのため、登録データの信頼性は、それを見る側が慎重に判断する必要があります。

なお、研究者個人は無料でORCID IDやORCIDレコードデータを登録・維持・共有することができます。大学などの機関が入会する場合はORCIDメンバーシップと呼ばれ、サブスクリプション料金が必要です。このメンバーシップのサブスクリプションによって、非営利団体であるORCIDの運営は支えられています。2020年8月現在、1,153のORCIDメンバー組織があります。

ORCIDは簡単な登録で研究者に付与されるIDで、自分の執筆論文や受賞歴などの研究成果を正確に自分自身の手で管理することができます。また、多くのデータベースや会員である大学・研究機関のホームページと連携し相互に活用できる利便性が支持され、学術コミュニティではなくてはならないものとなっています。

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