学会座長向け台本の作成方法 | 進行マニュアルやセリフも掲載

座長の台本は非常に重要です。プログラムの進行や具体的なセリフを記載したマニュアルにより、座長の負担軽減とスムーズな学会運営に繋がります。今回は、座長の台本作成方法とポイントを解説いたします。

学会座長の台本とは?

座長向け台本の役割

学会で一般演題の発表や講演を行う際、座長に台本をお渡しすることが一般によく見られます。

学会座長の台本には、2つの役割があります。

1つ目は座長の不安の解消です。座長を初めて行う人の中には、進行方向や、セリフ、トラブルへの対応方法がわからない方もいます。また、座長の経験はあるが、学会ごとの細かな違いにより不安が残る方もいるかもしれません。座長の台本はそのような不安を解消し、安心して進行ができるようにします。

2つ目は、プログラムの形式統一です。マニュアルがない、またはマニュアルに不足がある場合は、プログラムごとに進め方やトラブル対応が異なり参加者に混乱が生じかねません。台本を制作し形式を統一することで、上記のようなトラブルのリスクを軽減することができます。

台本の作成と構成

台本は読みやすく、情報の過不足がないように作りましょう。どこに何が書かれているか明確でないと、重要な情報を読み飛ばす、トラブルが発生した時に混乱するといったトラブルが発生しかねません。

座長向け台本においては、以下の構成がおすすめです。

①座長に依頼する事前準備
②プログラム進行マニュアル
③Web会議ツールの使用方法(オンライン開催時)
④トラブル対応マニュアル
⑤実際のセリフマニュアル

 

座長に依頼する事前準備

座長の役割を伝える

学会が座長に対して求める役割や期待することを、台本に記すと良いでしょう。プログラムの責任者としての役割を期待するのであれば、座長の重要性を強調しましょう。

また、プログラムを盛り上げる役目を期待するのであれば、「積極的なコメントをお願いしたい」「参加者へのお礼を必ず伝えてほしい」などと記載しましょう。

 

服装・持ち物・参加登録

持ち物や服装に指定がある場合に記載します。

服装について、スーツ等の指定がある場合に記載します。ネクタイの有無、カジュアルな服装の可否などを記載しても良いでしょう。

持ち物としては、座長であると示すネームプレートやワッペン、時間管理のための時計などが想定されます。

また、座長がまだ大会への登録を済ませていない場合や、参加登録開始前に台本をお渡しする際には参加登録の方法を記載します。

プログラムの内容確認と想定質問

プログラムを取り仕切る座長は発表演題や演者を把握をし、質問やコメントを事前に想定することが求められます。

抄録集やポスターをどの程度読み込めば良いかも指定しておくと、事前にやるべきことが明確になり座長の負担も軽減されるでしょう。

発表者の名前の確認も重要です。名前の読み間違いを避けるため、発表者の読み仮名まで確認してもらうことをおすすめします。

その上で、座長には質問・コメントを事前に想定していただきましょう。

 

プログラム進行マニュアル

プログラム開始時

プログラム開始時、座長がお話することは以下になります。

・プログラム開始のアナウンス
・座長の自己紹介
・プログラムの目的を
・プログラムの進行方法
・オンラインやハイブリッド時のルール
・発表と質問の形式と時間配分
・発表者への残り時間の通知方法

それぞれの項目について、セリフの例やポイントを記載しましょう。

 

発表者と演題の紹介

発表を開始する前に、座長から演題と発表者の紹介を行います。また、毎回の発表ごとに時間配分を通知するのであれば、その旨も記載しましょう。

 

発表中の役割

発表中の座長の役割は、主に2つあります。

1つはタイムキーパーです。発表者が時間通り進行できているかを管理します。残り時間の通知方法に指定がある場合、何分前に何をすればよいか記載しましょう。

もう1つは、発表者への指摘です。発表者の声量や提示する資料の不具合をどのように指摘すべきか記載します。

特にオンラインでの発表は、マイクやPCの不調から起こるトラブルが想定されます。その際、座長がPCの設定確認や操作の指示まで行うのかも記載しましょう。

 

発表終了後

発表終了後、座長からまとめのコメントを挟む学会もあります。

コメントには「素晴らしい発表ありがとうございました」などの簡単なものや、「〜〜をテーマにした研究は新しく、非常に勉強になりました」など感想を交えたものが想定されます。

どのようなコメントを期待するか、具体的なセリフの例も合わせて記載しましょう。

 

質疑応答(質問が発生しない場合)

質疑応答については、質問が出た場合と出ない場合とで対応が分かれます。初めに「質問はございますか?」とお聞きし、質問者がいるか確認することを記載しましょう。

質問者がいないのであれば、座長から質問を投げかけます。座長が質問を考えやすいよう、質問例も合わせて記載しておくと良いでしょう。

 

質疑応答(質問が発生した場合)

質問があった場合、座長の役割は質問者の指名と時間管理となります。

発表時間が延長し質疑応答の時間が少なくなったときには、「時間が押しておりますので、手短に質問と回答をお願いいたします」などのアナウンスが必要です。

また、発表が質疑応答の時間を超えて行われたときは、「発表時間が超過しておりますので、質問希望者はプログラム終了後にお願いいたします」などアナウンスします。

 

発表の終了

質疑応答が終了したら、発表のまとめと次の発表への案内になります。

「改めて、素晴らしい発表をありがとうございました」といった締めの言葉と、次のプログラムへの案内をするセリフを記載しましょう。

 

プログラム終了の挨拶

全ての演題の発表を終えプログラムが終了したら、座長からの挨拶を行います。発表者を労い、厳しい指摘を受けた方をフォローするようなセリフを記載しておくと良いでしょう。

 

Web会議ツールの使用方法

学会をオンラインで開催する場合、ZoomやWebexといったWeb会議ツールを利用するかと思います。その際、座長はオンライン会場のホスト・管理者として参加しなければなりません。

そのため、ホストとしてのログイン方法や操作方法も台本に記載する必要があります。

記載する内容には、以下の項目が想定されます。

・通信環境の確認
・ログイン方法
・ビデオやマイクの操作方法
・チャットやQ&Aの操作 / 確認方法

 

座長のトラブル対応マニュアル

スケジュールのトラブル

学会発表では、以下のようなスケジュールに関連したトラブルが想定されます。

・発表時間の超過
・発表が早く終わってしまう
・発表者の不在
・プログラム全体の時間超過

上記の問題に対して座長がどう対応をすべきか、参加者にどのようなアナウンスをすべきか、台本に記載すると良いでしょう。

 

技術的トラブル

プログラム内では、以下のような技術的トラブルが発生する可能性があります。

・音響設備(マイクやスピーカー)の不調や故障
・プロジェクターの不調や故障
・発表資料のパワーポイントが投影できない
・マイクや画面共有の問題(オンライン開催の場合)

上記の問題を座長が率先して解決すべきか、他のスタッフや運営事務局に任せるべきか、事前に指示しておくと良いでしょう。

 

実際のセリフマニュアル

日本語プログラムの場合のセリフ

台本には、実際にどのようなセリフを言うか記載しておくことで、座長の負担を軽減できます。「プログラム開始時」「演題と発表者の紹介時」など、各フェーズにセリフ例を掲載すると良いでしょう。

以下にセリフの記載例を一部提示いたします。

・プログラム/セッション開始時

「皆様、お集まりいただきありがとうございます。本日のセッションを始めさせていただきます。本プログラムの座長を担当致します、<所属組織>の<お名前>先生です。どうぞよろしくお願いいたします」

・発表者の紹介

「それでは、最初の(次の)発表者をご紹介いたします。<発表者の所属や職位>の<発表者の名前>さんです。発表のテーマは<演題タイトル>です。よろしくお願いいたします。」

・質疑応答セッション開始時

「それでは、質疑応答の時間となりました。質問をお持ちの方は、お名前と所属を明らかにした上で、ご質問をお願いします。」

・質疑応答セッション終了時

「以上で質疑応答の時間を終了いたします。皆様からの貴重なご意見、ご質問、本当にありがとうございました。」

・セッション終了時

「以上を持ちまして、本日のセッションを終了させていただきます。参加いただいた皆様、そして発表者の皆様に心から感謝申し上げます。。改めて、発表者の皆様への拍手をお願いいたします。」

 

英語プログラムの場合のセリフ

国際的な学会の場合、セリフも英語で掲載する必要があります。

以下にセリフの記載例を一部提示いたします。

・セッション開始時

“Good morning/afternoon/evening everyone. Welcome to the [session title] session of [conference name]. My name is [Chairperson’s name], and I will be your chair for this session. We have an exciting line-up of presenters and I look forward to the insightful discussions we will have today.”

・発表者と演題の紹介

“Let’s move on to our first presentation. I am pleased to introduce our first speaker, [Presenter’s name], who is [Presenter’s position or affiliation]. [Presenter’s name] will be speaking on ‘[Presentation Title].”

・質疑応答セッション開始時

“Thank you for the insightful presentation, [Presenter’s name]. We will now move to the question and answer session. Audience members, please feel free to raise your hand or type your questions in the chat. Please remember to keep your questions concise and respectful.”

・質疑応答セッション終了時

“That brings us to the end of the question and answer session. Thank you all for the active participation and insightful questions. Let’s express our appreciation to [Presenter’s name] once again for their valuable presentation.”

・セッション終了時

“Thank you everyone for your active participation in this session. We’ve had a fruitful discussion with valuable insights from our presenters and the audience. This concludes the [session title] session of [conference name]. I hope to see you all in our future sessions.”

 

学術大会のサポートはSOUBUN.COM

学会座長の台本作成は手間のかかる作業でははあるものの、円滑な大会進行には欠かせません。しかし、学会運営者の中には業務の負担が多すぎて、台本作成やその他作業に手が回らない方も多いのではないでしょうか。

SOUBUN.COMでは学術大会のトータルサポートを提供しております。

・学術大会の当日サポート
・マニュアル作成
・事務局代行
・大会公式サイトの制作

・オンライン開催/ハイブリッド開催のテクニカルサポート

などを提供しております。ご興味のある方は、以下のリンクよりお問合せください。

 

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