論文の要旨(abstract)とは?書き方も解説

論文を読む際、まずタイトルをみて、次に要旨(abstract)を読みます。
多くの読者はそうして、自身が探していた論文であるのか判断します。
多くの人に論文を読んでもらうためには、要旨の内容が重要になります。
この記事では、アブストラクトについて紹介し、皆さんのアブストラクトに関する疑問を解決いたします。

要旨とはなにか

要旨の役割とは、論文に何が書いてあるのかを端的に伝えることです。

例えばJ-Stageなどでも、要旨(アブストラクト)は、タイトルと要旨のみが本文とは別に、検索結果として表示されます。題名とならび、論文の顔ともいえる部分です。

要旨を見て、興味を引く点や自分が求めていたものがないとなれば、検索者は論文を読んでくれません。参考文献を探している研究者もそのように判断することが多いです。

そのため、アブストラクトでは単なるまとめにはならない、その論文で最も重要、伝えたい内容を簡潔に書くことが肝となります。

 

SummaryやIntroductionとの違いは?

要旨は、英語でabstractと訳されますが、同じようなものに、Summary(サマリー)やIntroduction(イントロダクション)があります。

いずれも論文の冒頭に掲載されることがあり、掲載される学術雑誌によっての表現の差異のようにもみえ、それらの違いに迷うこともあるかと思います。それらの違いはどのようなものでしょうか。

Summary

Summaryは、日本語でいえば「まとめ」「概要」「要約」となります。

学会誌によっては、抄録の対訳がSummaryの場合もあります。

サマリーは、論文の内容を短くまとめたものであり、英語表現においても終了した会議の内容のまとめの意味で使われることが多くあります。

アブストラクトとよく似ていますが、論文内容を確認するために論文の最後にまとめたものが一般的なサマリーとなります。

 

Introduction

Introductionは、日本語でいえば序章・序論、つまり本文への導入箇所となります。

究のきっかけや動機、その研究で明らかにしたい問題、その仮説や背景について記載します。また、その対象とした分野における従来の研究を紹介しつつ、自身の論文のオリジナリティなどについても記載していきます。

データの詳細などは本文で触れるものとなりますが、その要点は示しておくのもよいでしょう。

また、場合によっては、参考文献なども記載しておくと、読者の理解に役立つことがあります。

イントロダクションは、論文全体の完成後に全体を改めて客観視し、俯瞰して考えをまとめることが大切です。自身の中で情報を整理し、イントロダクションに反映させながら書き上げるのがよいでしょう。

 

論文の要旨の書き方【ポイント】

最後に要旨作成のポイントについてご紹介します。ポイントは以下の通りです。

まず、要旨の長さについてです。文字数は日本語なら200字から400文字、英語なら200語から300語程度にまとめるのが適当となります。掲載される雑誌で明確に規定されている場合もあります。

また、要旨は自分の研究成果についてのまとめであるため、先行研究について
言及する必要はありません。図表や出典、長い引用を載せることも控えましょう。

 

 要旨の構造化

形式としては、構造化要旨(Structured abstracts)と、非構造化要旨(Unstructured abstracts)の2つがあります。雑誌の規定により、記載すべき項目が定められていることもあります。

構造化要旨の項目例としては、【背景】【目的】【方法】【結果】【考察】【結論】があります。

背景:研究テーマの情報・キーワード等を記載します

目的:研究に取り組む理由や意義などを記載します

方法:研究内容に対して簡単に説明し記載します

結果:研究によって得られた結果を記載します

考察:得られた結果から考えられることを記載します

結論:仮説に対する結論、今後の課題等・後続の研究について記載します

構造化することにより、より明確に読者へ内容を明示することが可能です。その論文になにが記載されているのか、わかりやすく確認できる利点があります。

非構造化要旨の場合でも、項目に分けて記載はしませんが、ひとつの文章のかたまりの中で、それらを記載して書き進めていく必要があります。形式がないため自由度は上がりますが、文章力が必要になり、冗長にならないように配慮する必要があります。

 

要旨の注意点は?

要旨を書く際は、以下の点に注意しましょう。

・本当に必要かつ重要な内容を記載する

要旨では簡潔かつ具体的に情報を伝えることを心がけることが大切です。限られたスペースの中で論文の核心を伝えるためのものなので、先行研究の記載や冗長な表現は避けましょう。

・キーワードを入れる

要旨には論文テーマに関するキーワードを記載しましょう。読者に論文の概要を伝えることに加え、検索エンジンに正しく認識してもらうことにも役立ちます。

・専門用語は少なめに

要旨では、必要最低限の専門用語のみを使用し、可能な限り一般的な言葉で表現することが好まれます。読者に研究分野の知識があるとは限らないため、専門外の研究者にも論文の概要を伝える工夫が必要です。

ただし、専門の読者を対象とする場合は、その分野の専門用語を適切に使用しても構いません。

・時制は適切に

日本語・英語問わず、文章の時制にも注意しましょう。過去形は実際に実施した研究や実験、そしてその結果については過去形を使用することが一般的です。対して、現在形は一般的に受け入れられている事実、論文の主張や結論に多く使われます。

ただし、最近では研究結果を現在形で書く要旨もあります。投稿先のジャーナルに掲載されている論文の要旨を確認し、どのように時制が使われているかチェックしておくとなお良いでしょう。

 

まとめ

今回は、Abstract の書き方、Summary や Introduction との違いについてもご紹介いたしました。各学会毎に投稿規定により、論文投稿にあたって書式などの要件や必要事項が記載されています。論文の起稿にあたっては執筆する前に、投稿する学会誌の規定を必ず確認し、それに則り執筆するようにしてください。

 

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