学術雑誌の「原著論文」の定義や総説との違いとは?

学術雑誌には、原著論文や総説、症例報告、統計調査、学位論文など、原著論文以外にも色々な種類の記事が掲載されていますが、一般に「論文」と呼ばれるものは「原著論文」を指しています。では、原著論文とはどんな論文のことを指すのでしょうか。今回は、原著論文について紹介いたします。

原著論文の定義は?

原著論文とは文献の資料種別の1つですが、その定義はどのようなものでしょうか。

実は、原著論文の定義は大学や研究機関などの組織によって異なり、原著論文を独自に定義している文献情報サイトなどもあれば、定義していないところもあります。

例えば、医中誌では独自に原著論文を定義し、一つ一つの文献をチェックして原著論文に該当するか否かを判断しているとしています。

しかし、J-stageやメディカルオンライン、CiNiiでは独自の定義はなく、論文が掲載されている雑誌に「原著」や「原著論文」などの分類がなされている論文が原著論文としてヒットします。

参考:医中誌webにおける「原著論文」の定義

「医学・歯学・薬学・看護学・獣医学およびその関連分野に関わる研究、開発、調査で、独創性、新規性のある文献で、著者名と所属機関名が必ず記載されており、目的、対象、方法、結果、考察、結論で構成されているもの。図、表、写真、参考文献を含み、要旨、要約があるもの。講演または会議録でも、原著的内容、形式を有するもの。論文の簡略化された形式をとった記事(速報・短報)も含む。症例報告は原著論文とする。」

原著論文以外の論文種別の定義も以下で公開されています。

医中誌web(論文種類の定義)

https://www.jamas.or.jp/database/policy2.html

原著論文とはなにか

前項では原著論文の統一された定義はない、とご紹介いたしましたが、それでは原著論文とはどのようなものを指すのでしょうか。

キーワードになるのは「オリジナリティ」と「1つの問題」です。

一般的に原著論文とは、英語では「Original Article」と呼ばれるように、完全オリジナルの論文です。

具体的には

・学術雑誌に掲載されている

・その著者独自の研究および研究結果、また新しい知見や最新の研究内容などがまとめられた、盗作ではないオリジナリティのある未発表(二重投稿でない)な論文である

ことが必要です。

また、論文を学会誌等に投稿した際は、基本的にはその学術雑誌を発行している学会にて査読が行われてから、原著論文であるか判断がなされてやっと掲載がされます。そのため、原著論文が採択、学会誌に掲載されるという事は、その分野において成果や有用性が認められたといえます。

原著論文に必要なもの

それでは、原著論文に必要とされるものはどのようなものでしょうか。

まず、論文で取り扱う問題が基本的に1つであり、それに関する研究内容目的(object)と結論(Conclusions)が明確に記載されている必要があります。また、取り扱う問題に対して、リサーチや調査・実験を行って結論を導き出し、その提案する手法方法論(Methods)が客観的に有効かを評価している必要があります。さらに結論への過程に残された課題についても考察(Discussion)されていなくてはなりません。そして、それらは再現性があることが必要となります。ここでの再現性とは、記された方法で導き出される結果はまた同じ結果を得られる保証がある、といった意味になります。

原著論文と総説の違いについて

原著論文と似た種類の論文に総説論文があります。調査論文やレビュー論文と呼ばれることもあります。原著論文との違いについて、若手の研究者はしばしば混乱することがあるかもしれません。

この2つは「特定のテーマを扱う」という点では同じように見えますが、その間にはそれぞれ違いがあります。

原著論文はオリジナルの研究を詳細に研究します。一方で総説論文は、それら原著論文や関連する症例報告等のデータなど特定のテーマに関する先行研究・先行論文を徹底的に分析することによって、そのテーマに関する概要と現状の知見をまとめることが大きな目的となります。

原著論文がオリジナルの研究を行う種類の論文なのに対し、総説論文は先行研究を比較して共通点や相違を見出し、それらの原因を客観的・俯瞰的に分析し、そのテーマの抱える問題点などを指摘する種類のものとなります。

卒業論文・学位論文・博士論文は内容としては原著論文に似ていますが、複数の問題を扱っている場合は総説論文という扱いになります。

また、執筆した論文が学術雑誌に掲載されるためには厳格な査読を通過する必要があり、投稿から掲載までにかなり時間がかかります。そのため、関連する分野の研究者にいち早く自分の成果を報告したい時は、レターを活用するのが良いでしょう。

レターとは、発表されている論文に関するアイデアやコメントを雑誌を通して、論文の著者と読者同士がやり取りすることができる形式です。

原著論文という言葉を知っていても、いざそれを説明するとなると難しいものとなります。この記事では知っているようで知らない分野、原著論文についてまとめてみました。何かひとつでも新しい知見となって論文執筆のお役に立てば、うれしく思います。

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