研究助成先と論文を紐づけるシステム「Fundref(ファンドレフ)」とは?

FundRefは、研究助成とその成果物である論文などの出版物とを結びつけてデータ化し、集約・公開するシステムです。
誰にとっても透明性のある助成を実現するFundRefとはどのようなものか、詳しく解説します。

「FundRef (ファンドレフ)」とは?特徴とメリット

FundRefとは、論文などの研究成果とそれを支えた助成金の情報を結び付けて収集し、公開するサービスです。このサービスは世界中の学会や出版社が加盟する非営利連盟の組織名であるCrossRef(クロスレフ)のリードで助成機関と出版者が協働し、2013年5月にスタートしました。

それまでは多くの研究が助成機関からの投資に支えられていたにも関わらず、論文などの研究成果の本文やメタデータに記載する助成機関名称や助成番号の記載方法が標準化されていませんでした。そのため助成金に関する情報は表記の場所も名称も不統一でデータとしてまとまらず、ジャーナル単位や研究機関単位でどの助成機関からどれくらいの助成金を得ているのかを把握するのはほぼ不可能でした。また助成機関にとっても、投資の効果を評価するにはかなりの労力を要しました。

そのような状況を背景に、助成金情報の標準化と情報集約・管理・運用を目的としてFundRefが生まれたのです。

FundRefはまず、世界中の4,000以上の助成機関に対して固有のIDを付与し、名称や略称などの情報と共にデータ化しました。これがFundRefレジストリという基礎となるデータベースです。
これをAPIを使って出版社のオンライン投稿・査読システムと対応させることで、研究者が論文を投稿する際に標準化された名称で助成機関を入力できるようにしました。

メリット1:どの機関がどのような研究に資金提供(助成)したのかがわかる

資金提供機関及び助成金と研究論文を結びつけ、そのデータがオープンにされて誰もが検索できることで研究助成金とその成果に透明性が保たれます。
その結果、研究者や出版者、研究機関それぞれの立場で得られるメリットがあります。

研究者にとっては論文を読む際にその背景を読み取ることができ、自分の研究への支援先を探すことができます。出版社にとっては掲載した論文への資金提供先を追跡でき、また研究機関にとっても所属する研究者がどこからどれだけの資金を得ているのか、生産性がどのぐらいかなどを把握することができます。

メリット2:助成機関は研究の成果がわかる

一方、資金提供をする助成機関にとっても大きなメリットがあります。それまで資金を提供した個々の論文を特定し、ジャーナルや研究機関、分野などその成果を統計的に管理することは困難でした。しかし助成機関(資金提供者)に固有のIDが付与されたことで、このIDに紐づいて助成した研究の成果である論文と、そこに付帯する情報を容易に収集できるようになりました。

FundRef の検索方法

以下のCrossRefの検索ページで助成機関名からその助成金による論文等の成果物を検出することができます。

https://search.crossref.org/funding

まず助成機関名を検索欄に英語で入力します(日本語は認識しません)。すると、助成機関の助成金による研究成果のメタデータが一覧になって表示されます。そこにはDOIも含まれるので論文そのものに飛ぶことも出来ます。また、左側に提示されたカテゴリー分けによって出版年・ジャーナル・出版社・助成の名称の各カテゴリーで絞り込むこともできます。

FundRef IDは科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)にも導入されている

日本最大の電子ジャーナル無料公開システムであるJ-STAGEもFundRef IDを導入しています。J-STAGEに記事を搭載する際、ファンド情報として助成機関名・FundRef ID・助成金番号の入力が必要になりました。入力の際はFundRefとAPIにより選択もしくは自由入力で簡単に設定できます。

なお検索する際には助成金による検索はできませんが、ファンド情報を持つ論文が検出された場合はその情報も一覧で明示され、どのような助成を受けたかがわかります。

FundRef に登録されるまでのプロセス

FundRefに必要な研究助成情報が登録され、各国の書誌情報とつながって個々の論文に助成情報が記されるまでの大まかなプロセスは次のとおりです
1. 出版社が自社の投稿システムにAPIによりFundRefレジストリを組み込みます。
2.著者は助成金を受けていれば投稿の際にリストから助成機関を選択し、入力します。これにより投稿と同時に助成番号が自動で付与されます。この際、出版者は助成機関の名前をFundRefレジストリでの名前と一致していることを確認します。
3.出版が決まったら、出版者は書誌情報の一部として助成機関名・FundRef ID・助成番号をCrossRefに送ります。
4.出版社は書誌情報の一部としてFundRef ID・助成機関名・助成情報・助成番号などの助成情報をCrossRefに送信します。
5. 助成機関はAPIを利用してCrossRef を照会し、助成を受けた記事の基本情報やDOIなどの情報を受け取ります。そして各出版社の所有する電子ジャーナルの情報に助成情報を含めた必要な情報を記載します。

研究活動を続けるうえで助成事業は非常に重要です。それぞれの研究がどのような助成を受けて進められているのかを研究者や出版者、助成機関の双方で把握することでより効果的な研究助成に繋がることが期待できます。
FundRefの活動は、助成という側面から研究活動に関わるデータを結び付ける重要な役割を担っています。

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