学術雑誌の評価の指標となるインパクトファクターの調べ方

インパクトファクターは、ジャーナルに掲載された論文がどれくらい他誌に引用されているかを示す指標です。この指標の確認方法を紹介し、研究者や研究施設にとっての意味や活用方法、誤用の注意点などについて解説します。

Web of Science収録雑誌の評価の目安となる「(ジャーナル)インパクトファクター」

インパクトファクター(IF)もしくはジャーナルインパクトファクター(JIF)とは、Journal Citation Reports(JCR)が毎年提供する自然科学・社会科学分野の学術雑誌(ジャーナル)の影響度を表す指標の一つです。

1年間のあるジャーナルにおいて、その直前の2年間に掲載したすべての論文の被引用件数を掲載論文数で割ることで算出します。なお、被引用件数からは自誌引用は除外されます。

インパクトファクターの評価対象はWeb of Science収録雑誌に限られているため、医学・生物学文献を扱うPubMedなどのデータベースはサポートしていません。

これで分かることは、各ジャーナルがその研究分野に与える影響の強さであり、同じ分野のほかの雑誌と相対的に比較することが出来ます。

このインパクトファクターの数値は、研究者にとって自分が論文を投稿すべきジャーナルを選考する目安の1つとなります。そのため研究機関にとってインパクトファクターの数値は購読すべきジャーナルを選定する際の参考となります。

またジャーナルの出版元にとっても、編集方針やポリシーを決める際の参考になります。

なお、インパクトファクターは個々の論文や研究者の研究業績、研究機関を評価するものではありません。また、低いからといってそのジャーナルは論文を掲載する価値が低いというわけでもありません。

インパクトファクターは扱った論文のテーマや時事性などによっても左右されることがあります。あくまでも目安の1つと考え、他の指標やジャーナルに掲載されている論文や特集の内容など、さまざまな観点で総合的に評価することが大事です。

より詳しいインパクトファクターの定義・説明はこちらの記事をご覧ください。

学術誌・学会誌のインパクトファクターとは

 

 

インパクトファクター(JIF)の計算法

あるジャーナルの1年間の数値を算出する場合、数式は

「ある年のインパクトファクター=その年以前の2年間にそのジャーナルに掲載された論文のその年の被引用回数/その年以前の2年間にそのジャーナルに掲載された論文数合計」

となります。

例えばジャーナルA は2019年から2020年の2年間に480本の論文を発表し、それらの論文が2020年の1年間に他のジャーナルに引用された総回数が1,200回だった場合、式は以下となります。

ジャーナルAの2021年のインパクトファクター=1,200÷480=2.5

 

2020年よりオンライン公開を基準化

2020年から、その年にオンライン上で早期公開された論文もカウントするようになりました。従来は紙媒体のジャーナルの発行年数を基準としていましたが、今後はオンライン上での公開年数が基準となります。

例えば、2022年2月発行のジャーナルに掲載される論文を2021年11月にオンライン上で早期公開した場合、その論文は2021年に掲載された論文としてカウントされます。

近年ではオンラインと誌面で掲載時期にズレがあることも多いため、時流に合わせた対応であると言えるでしょう。

インパクトファクター(JIF)の調べ方

インパクトファクターはJCRの有料契約が必要です。またWeb of ScienceでもJCRの有料会員がアクセスした場合のみ表示されます。

無料の検索サイトからは、数年前のインパクトファクターなどごく一部の情報にしかたどり着けません。

「Web of Science」と「Journal Citation Reports」それぞれから確認する手順を説明します。なお、以下の説明はJCRの有料会員としてアクセスした場合の画面表示に基づくため、無料登録画面には表示されていない場合があります。ほとんどの大学や研究機関は有料会員に入っているため、大学や所属先機関の図書館のサイトからアクセスするなど有料の情報を閲覧できる環境において操作してください。

調べ方①「Web of Science」からの検索方法と見方

Web of Scienceから調べる場合は、まず調べたいジャーナルに掲載されている論文を探し、その論文のフルレコード画面を出します。

画面左側「論文の基本情報」にある掲載ジャーナル情報の一番下にインパクトファクターについての記載があります。そこをクリックすると最新のインパクトファクターや分野のランク・四分位などの情報が表示されます。

さらに詳しい情報を必要とする場合は、その表示窓の中にある「Journal Citation Reports」へのリンクを押してJCRのサイトに飛びます。

または、同じく論文のフルレコード画面の右側に表示された「View the journal impact factor」という表記をクリックすることで、論文掲載ジャーナルの5年間の推移が表示され、ここからより詳しいジャーナルのデータにアクセスできます。

 

調べ方②「Journal Citation Reports」からの検索方法と見方

Journal Citation Reportsのサイトではより詳しいインパクトファクターの検索ができます。JCRのトップページから、ジャーナル名を直接入力して検索することもできます。

また、雑誌名一覧や分野一覧から検索することで、特定の分野の中の他のジャーナルと比較することもできます。

ジャーナル名を特定すると、そのジャーナルの詳細ページに飛びます。もしジャーナル名がヒットしなければ、そのジャーナルはWeb of Scienceに収載されていないということです。

ジャーナルの情報ページにはタイトルやISSN・JCRでの分野などの基本情報のほか、過去から最新のインパクトファクター・論文・レビューそれぞれの引用の分布・過去5年の推移を表すグラフ・国や地域ごとのデータ・組織ごとのデータなど詳しい分析結果を閲覧できます。

また、分野内でのランキングや他使途の引用・被引用の関係など相対的な情報も見られます。

さらに、ここではそれ以外にも多くの指標が提示されています。

主なものは、5年分の論文で算出したインパクトファクターである「5 Year impact Factor」、論文掲載から1年間の被引用を示した「Immediacy Index」、どれだけ長く引用され続けているかを示す「Cited Half-Life」、2009年に加えられた、JRCのデータ利用による新たな指標「Eigenfactor Score」などがあります。

インパクトファクターはジャーナルの分野における重要度や位置づけを知るための指標ではありますが、ひとつの数値だけで評価を決めるのは危険です。

また、インパクトファクターから研究者や研究機関を評価することも誤った使い方です。インパクトファクターの意味することを正しく理解し、研究活動に役立てましょう。

 

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