段取り良く学会を準備するための学会運営マニュアル

研究会や国際会議、セミナーなど学会開催について、組織作りから会場準備、事後処理までを時系列に沿って説明します。学術会議運営に必要な準備や運営のポイントを網羅した学会準備マニュアルです。

ステップ1:2年前〜1年半前 実行委員会の設立

初めに実行委員会を設立します。
一般的には実行委員長以下、会計担当、広報担当、出版担当、展示担当、プログラム担当、開催地担当などが必要です。委員会設立と同時に事務局を置きます。事務局では問い合わせ窓口、進行管理、各委員との連絡などの実務を担います。事務局のメールアドレスも早めに取得しておきましょう。これは大会サイトに問い合わせ先として記載するほか、様々な用途に利用するためです。

ステップ2:2年前〜1年前 実施計画の作成

実行委員を中心に具体的な実施計画を立てます。開催実績があれば前開催の資料を引き継ぎ参考にします。この段階で決めることは以下の通りです。

1.学会の名称、テーマ、規模、プログラム構成を決定
学会のテーマを明確にし、全体会、分科会、講演会、展示会、理事会、会員集会、レセプションなど全体の日程・構成を決めます。

2.開催会場・開催日程の決定
会場には大学や市民ホール等の公共施設やホテルを利用し、アクセスがよく、設備の整った会場を選びます。プログラムの構成は会場の部屋数・座席数によってある程度左右されてしまいます(例えば、同時進行するセッション・講演の数など)。特にステージの大きさや1部屋あたりの座席数、音響設備などが大会の規模と合っているかよく確認してください。日程は参加者が忙しい時期を避けて設定します。春や秋はイベントが集中し条件のよい会場は取りにくいので、2年前には押さえておきましょう。

3.参加人数の決定と宿泊施設の確認
過去の実績から全体の人数を決定し、会場の部屋数や座席数が適切か、周辺に十分な宿泊施設や飲食店があるかを確認します。

4.収支予算案の作成と銀行口座の開設
大まかな予算を決めます。収入には参加登録費のほか、補助金、寄付金、広告料、企業からの協賛金、地方での大会開催の場合は助成金など。支出には会場費、備品代、招待講演者への旅費宿泊費・謝金、人件費、印刷代などがあります。資金調達方法や目標額も明確にしておきましょう。

助成金の補助を利用したい場合は応募期限に合わせて申請準備を行いましょう。助成金申請は大会開催の前年度(1年前)が目安となっている場合が多いです。自治体によって異なりますので、利用したい助成金制度をよく確認しておきましょう。助成金については以下の記事もご参照ください。

【参考】学会開催の補助金(助成金)があるオススメ開催地情報

予算案作成に合わせ、学会専用の銀行口座を開設します。団体名での口座開設には厳しく規制される場合があるので、事前に金融機関に相談しましょう。

5.全体スケジュール表の作成
打ち合わせをしながら、業務を分担し、開催までの全体スケジュール表を作成します。

ステップ3:1年前 公式サイト開設や関連機関などへの告知、印刷物の制作

1.公式サイトの開設
公式サイトを開設し、通知や問い合わせの受付の場とします。公式サイトには大会概要、日程、会場案内(駅からの簡単な道案内が書いてあると親切です)、参加費、参加登録方法などの情報を掲載します。

2.関連機関などへの告知や協賛・後援・広告依頼
大会概要をまとめ、関連機関などへ周知します。協賛や後援、広告を依頼する場合は趣意書を作り、対象者に提出します。協賛や広告募集には、公式サイトや前大会を活用してPRします。

3.印刷物の制作
学会ポスター、参加者用の名札、会場の看板、プログラム、封筒などの印刷物を作ります。学会用のロゴを載せるとイメージが統一できます。

4.参加者のエントリー方法の設定
参加資格の基準や参加登録の記入項目(例:氏名、所属、会員か否か、要旨集等印刷物の送付先住所、懇親会の参加の有無)を設定します。申込書は紙ベースで作成し郵送で受け付けるのか、ウェブ上で登録するのか方針を定め、申込用紙やWebフォーマットを準備します。近年の学会では参加者と事務局双方の負担を鑑み、Webでの参加登録を行うケースが基本です。

5.講演者やシンポジストの選定や手配
講演者などを選定し依頼をしたら、謝金や交通費、宿泊場所、送迎、会場での控室の手配をします。

ステップ4:6か月前〜1か月前 参加者受付開始、開催会場下見、会場のレイアウト・使用計画を作成

1.参加者受付登録
受付開始後、参加登録内容をデータ化し、プログラム作成、名札や名簿、発送用封筒の宛名印刷などに活用します。参加登録システムを使用すると、データ化や決済者の自動消し込みができるため便利です。参加に合わせて学会に入会する参加者がいる場合は入会金と登録費を分けて決済します。未決済者には何度かリマインドメールを送ってあげると親切です。

2.開催会場の下見
責任者だけではなく、実行委員会の全員又は各部署の責任者が同行し、当日の大まかなスケジュールと必要な備品など会場の施設責任者と打ち合わせしておきます。特に追加の機材が必要になるのが音響機材です。マイクの本数や配線、動線など総合的に確認しましょう。

3.会場のレイアウト・使用計画を作成
会議・講演会場、展示会場、飲食スペース、受付、講演者の控え室など、会場の使用計画レイアウトを決めます。机や椅子、展示パネル、音響・照明・プロジェクターなど設備の必要数を部屋ごとに確認し、手配しましょう。施設で貸し出すもの以外は、他から借りるか手持ちのものを持ちこみます。

4.当日の人員配置・マニュアル作成
外部・内部スタッフの配置表と業務マニュアルや会場用の台本を作成し、それぞれ関係者に配布します。スタッフの人数が多い場合には、リアルタイムでやりとりできるSlack等のチャットアプリを用いて連絡を取り合うのがよいでしょう。(その場合、アプリに慣れていない方のためにアプリの使用マニュアルも作っておくと安心です。)

5.誘導・輸送計画
駐車場や会場内に案内看板を設置します。また、借用先から会場まで又は会場間の物品輸送計画を立て、運送会社を手配します。

6.プログラムの作成・発送
大会・会議の日程、会期中の行事、会場案内などを記載したプログラムと要旨集を作成し、参加者や関係者に配布します。(これらの印刷物は学会様によっては電子化して大会サイトにアップロードするだけ、という場合もあります。)

ステップ5:1か月前~前日 会場・手配などの最終確認

開催までに以下の点を確認しましょう。

1.関係者との最終打ち合わせと確認
会場施設、スタッフ、運営を依頼した会社、来賓者や講演者などと最終打ち合わせをします。特にトラブルがあった際の連絡先はしっかりと周知しておくことが大切です。現場の指揮系統をはっきりさせておくと、いざトラブルが起こったときも円滑に対処できる可能性が高まります。

2.実行委員内部の最終打ち合わせと確認
各実行委員と、日程、設備や備品の手配、使用方法、制作物・配布資料などについて当日の流れに沿って最終確認します。

3.前日のリハーサル
開催会場を設営した後、リハーサルを行いながら照明や音響、クロークなど設備・備品、納入物の最終点検をします。当日搬入の荷物の手配、配置も確認しましょう。

ステップ6:開催当日 事前ミーティング、各担当者の対応、撤収作業

当日注意すべきポイントは以下の通りです。

1.事前ミーティング
各担当者の役割の最後の確認をします。突発的なトラブルに対処できるよう常にスタッフと連絡が取れる体制を整えましょう。

2.参加者、講師・来賓対応
参加者受付方法、講師・来賓への対応などは、対応するスタッフ全員に情報を共有しましょう。

3.撤収作業
会場の返却時間までに撤収作業を進めます。備品は会場に返却するもの、他所から借りたもの、持ち込んだものに分け、数や状態を確認して返却・返送手続きをします。他所から借りたものは事前に返却期限を確認し、間に合うように返しましょう。返却が遅れると、延滞料金の支払いを求められることもあります。ゴミはすべて主催者の責任で処分・持ち帰りをし、会場を清掃します。現金は持ち歩かずに最寄りのATMで専用口座に入金すると安心です。(大会中は現金は鍵の付いている金庫等に入れ、必ずスタッフを配置するようにしましょう。)

ステップ7:終了後 礼状の発送、収支決算書の作成、実行委員会の反省会などの事後処理

学会終了後は速やかに以下の事後処理を行います。
1.礼状の発送
協賛・後援をしてくださった関係先や講演者・来賓に宛てて礼状を送ります。事前にリストを作成し送付先も確認しておきます。

2.各種清算・収支決算書の作成
未払い金の支払いや未収金の回収を済ませ、借入金の清算を行います。その後、議事録が承認されてから収支決算書を作成します。決算報告は議事録とともに保管しましょう。

3.実行委員会の反省会、引継ぎなど
反省会を行い次回開催への引継ぎ事項をまとめたら、実行委員会を解散します。反省会には次回開催の実行委員も同席のうえ行うとよいでしょう。

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