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学会運営における「読みやすいフォント」とは

最終更新日:2026年6月3日
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学会運営における「読みやすいフォント」とは

〜論文テンプレート・投稿規定・発表資料に活かす指定(推奨)フォントとは〜

学会運営において、論文投稿規定、予稿集テンプレート、講演スライドの作成指針、学会での発表ポスター、会員向け案内文書など、文字を扱う機会が非常に多いかと思います。こうした運営文書やテンプレートを整備する際、余白や段組、見出し構成、図表番号の付け方などに注意が払われる一方で、「どのフォントを前提に設計するか」については、慣例的に決められていることも少なくありません。

学会運営に求められるフォントの条件

学会が提供するテンプレートや書式は、多くの会員が利用する共通基盤です。推奨フォントによっては、論文の読みやすさ、発表資料の見やすさ、さらには運営側の確認作業のしやすさにも影響します。どのフォントをどの用途で使用するかを考えた場合、以下のような条件が必要でしょう。

  1. 読みやすい、判読しやすい、誤読しづらい「文字の形状」

  2. 長時間、文章を読むことにストレスを感じない「行間」

  3. 他の環境で書体化け(他の書体に代わってしまう)が起こらない「互換性」

 

論文、発表資料、事務局業務といった多様なシーンを支えるためには、これらをバランスよく満たす必要があります。

1.誤読を防ぐ「文字の形状」

学会運営において特に重要なのが、「誤読の起こりにくさ」です。論文や資料には、「1(イチ)」「l(エル)」「I(アイ)」や、「86S9」といった判別しづらい文字が頻繁に登場します。これらが見分けにくい場合、査読、校正、組版といった工程で確認負荷が増大し、ミスの原因にもなりかねません。Windows標準搭載のUDフォント(BIZ UD明朝/BIZ UDゴシック)は、こうした似た文字の識別性を高める設計がなされており、第三者研究機関によるエビデンスも取得しています。研究内容の正確な伝達だけでなく、運営側の業務負荷の軽減にもつながります。フォントの選定は、発信側(著者)のためだけでなく、受け取る側(読者)の負担軽減にもつながる設計要素といえるでしょう。

2.長文読解を支える「行間」

論文の本文や抄録は、長い文章を読むことを前提としたコンテンツです。このとき重要になるのが、文字そのものだけでなく、行間や文字間の設計バランスです。バランスが不適切な場合、読者は内容に集中する前に「読みづらさ」を感じます。

長文読解を想定した場合、一定の「行間」を取ることで読みやすくなりますが、1ページ当たりの文章ボリュームは減るため、そのバランスが求められます(こちらでのサンプルは行間を1.5倍としております)

学会誌や予稿集のように専門性の高い内容ほど、文字そのものは“意識されずに読める状態”であることが重要といえるでしょう。

 

3.実務を支えるWindows標準フォントという「互換性」

学会運営では、さまざまな環境間でデータのやり取りが発生します。「投稿原稿の受領」「査読・校正」「版下作成」「スライド共有」など、この際、特定フォントに依存すると、レイアウト崩れや置き換えが発生し、トラブルの原因になります。Windows10/11に標準搭載されているUDフォントは、追加インストール不要で利用できるため、会員に負担をかけない、環境差を最小化できるという実務上の大きな利点があります。「誰でも同じ状態で使えること」は、学会テンプレートにおいて極めて重要な条件です。

発表資料・用途別に考えるフォント設計

学会では、用途によって求められる読みやすさも異なります。

論文本文用フォント BIZ UD明朝、またはBIZ UDゴシック(和文)
BIZ UDP明朝、またはBIZ UDPゴシック(英文)
スライド用フォント BIZ UDPゴシック(短文・視認性)
表・数値部分 BIZ UDゴシック(整列性)

 

※論文用(英文)の場合、プロポーショナル欧文の使用が可能なBIZ UDP明朝を選出
WordPowerPointでは、和文と欧文、それぞれの書体指定が可能です。
 このように用途別に整理することで、会員にとっても分かりやすい指針となります。

 

幅広い読者に対応する「UDデジタル教科書体」

近年の学会は、研究者だけでなく、学生や一般の方向けの資料など、対象読者が広がっています。その中で有効なのが、Windows10/11に標準搭載されている「UDデジタル教科書体」です。このフォントは、「字形が分かりやすい」「初学習者でも認識しやすい」「親しみやすい印象」といった特長を持ち、「初学者向け資料」「ガイドライン」「アウトリーチ資料」などに適しています。BIZ UDフォントとは異なる役割として、より理解しやすい表現を支える選択肢といえるでしょう。

まとめ:フォントは「運営品質」を左右する

フォント設計は単なるデザインではなく、会員サービスの質、編集・校正の効率、情報伝達の正確性に関わる、学会運営の基盤です。テンプレートや規定を見直す際には、「誤読しにくいか」「長文が読みやすいか」「視認性が確保されているか」「誰でも使えるか」といった観点からフォントを再検討することで、文書品質全体の底上げにつながります。

Windows標準搭載のUDフォントは、追加コストなく導入できる現実的な選択肢です。

「どの文字で届けるか」という視点を取り入れることが、これからの学会運営において、今後さらに重要になっていくと考えられます。

参照資料

 

その他の論文の書き方に関する記事はこちら

     

    本記事はモリサワフォント関連情報サイト「FONT SWITCH PROJECT」の掲載記事をもとに、株式会社モリサワ様より、学会運営者様向けに編集・再構成いただいた記事です。

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